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入国ビザと1500人の防疫体制の課題……F1日本GP中止決断の背景【モビリティランド田中薫社長会見】

2021年8月22日

 8月18日、F1日本グランプリを開催する鈴鹿サーキットから発表された、2021年のF1日本GPの開催中止の報。鈴鹿サーキットを運営するモビリティランドの田中薫社長が8月22日、スーパーGT第3戦鈴鹿の決勝レース前にメディアに対し取材に応じ、中止決定に至るまでの詳細などについて言及した。


 新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年は開催できず、多くのファンが期待した2021年のF1日本グランプリ開催。2021年限りでF1活動を終えるホンダのラストラン、そして角田裕毅の凱旋グランプリでもあり、F1側も開催に向けて全面協力し開催に向けた努力を続けていたが、8月18日、モビリティランドは開催中止という苦渋の決断をせざるを得なくなってしまった。


「日本GPの開催に大変期待をしていろいろと準備を進めてきましたが、先日発表したように関係者の入国の確証が確定できないということで、苦渋の決断と言いますか、断念せざるを得ない結果となりました。大変残念です。2年連続でF1をここでお届けできない。今年はホンダラストランや角田裕毅選手の凱旋、そしてホンダがタイトルスポンサーに付くという特別な年ですから、本当に残念ですね」と田中社長は、少ししぼり出すように今回の決断の理由を語った。


 田中社長によれば、中止を決断するに至った要因は、大きくふたつあるという。


「日本は(現段階で)基本的に外国人の入国を認めておらず、スポーツイベントでの入国全般についてもビザを取得しなければいけませんが、これが一番のネックです。また防疫対策として、オリンピック等でもご存知のバブル形式が採用されていますが、こういったことを徹底するためにやってきました」とモビリティランドは、F1開催へ対策を進めてきた。


 しかし、「入国に関するビザの発給が見通せませんでした」というのが最終的な決断の理由。ビザの問題は行政から期限までに回答を得ることができず、防疫対策もドライバーを含めたF1関係者1500人を飛行機を降りた直後の空港からホテル、そしてサーキットまでいくつものバブルを形成して隔離するために、東京オリンピックで行われたバブル形式の運営を調べたり、官庁からのアドバイスを仰ぎながら準備を進めていた。


「入国の問題、バブル運営体制のふたつが課題でした。F1に限らず(8月19日に中止が発表された)二輪の鈴鹿8耐も同様で、2年連続での断念となってしまいました。2日連続の中止発表でお騒がせしました。この状況の中ではこう判断せざるを得ませんでした。競技団体との相談の上に決定させていただきました」


 今回のF1日本GPの開催に向けては、F1側、F1の興業面を統括するFOWC(フォーミュラ・ワン・ワールドチャンピオンシップ・リミテッド)も非常に協力的で、来日するF1関係者1500名全員のそれぞれの出身国の日本大使館に必要書類やデータを提出するなど、膨大な手間をかけながら、開催に向けて一丸となって進めていたという。10月の開催に対して、決断についても「本当にギリギリまで待ってもらいました」と8月まで調整が進められていた。


「(開催に向けての必要書類など)所管官庁はスポーツ庁になりますが、ビザを発給するのは外務省、防疫対策について判断するのは厚生労働省。入国審査については法務省と、いろいろなところが絡みますが、こちらの窓口に申請書類をFOWCと一緒に提出しました」


「FOWCのステファノ・ドメニカリCEOから、今年はこれだけインクレディブル(驚くべき)でモメンタム(旬)な話題が多い年なので、といろいろな面で協力してもらいました。膨大な関係者の氏名、入国に関するデータ、国籍それぞれの日本大使館に行ってビザを出してもらわなければならないなど、大変な作業になりますが、FOWCが非常に協力して頂き、提出しました」


 それでも叶わなかった、今年のF1日本GP開催。発表直後から『オリンピック、パラリンピックが開催されているのになぜ?』『野球やサッカーでは外国人が入国できているのに、モータースポーツはなぜNG?』とのファンの声も多数聞こえるが、田中社長にも、鈴鹿サーキットのTwitterなどを通してファンの声は届いているという。他のスポーツイベントと比べての個人的な感想を聞いた。


「(モータースポーツ関係者のビザの取得が認められない要因は)なんとも分からないところですし、競技について特性も異なりますから。皆さんから『オリンピックはできてF1ができない』ことは言われますが、私もそれはさすがに分かりません。ただ人数や競技形式など、やはりイベントごとに違いはあるので、一概には言えません。一般的な感覚や個人的に言わせていただければ、残念ですね。なんともお答えはできませんが」


 今年のF1開催は中止となったが、鈴鹿サーキットは2022年から3年の開催延長契約をFOWCと結んでおり、すでに来年、2022年のF1開催に向けて取り組みを開始しているという。


「来年から2024年まで日本GPの開催は発表済みで、来年は鈴鹿サーキットが60周年です。みなさんにさらに楽しんでいただけるよう、応援への感謝も込めて、特別なグランプリを作っていきたいです。すでに準備を進めていますし、来年に向かっていきたいと思いますので、皆さんのご支援をよろしくお願いします!」


 鈴鹿サーキット側はリリースにもあったように、今年の開催に向けて膨大な時間を費やし、できる限りの問題の解決に取り組んできた。さらにFOWC側からの大きなサポートもあったが、新型コロナ影響に道が閉ざされたかたちとなってしまった。今回、F1日本グランプリ開催に向けて1500名以上が一度に来日するケースは、オリンピックをのぞけば「最大の行事」になるという。


 新型コロナの早期の収束、そして来年のF1開催が無事に行われることを願うだけでなく、国際的なモータースポーツイベントならば、官庁の積極的な協力を仰げるよう、F1、そしてモータースポーツがさらに多くのファンに認知され、レースが単なる興行イベントとしてだけではなく、公営性の高いスポーツイベント、文化イベントとして広く認められることが今後の日本のモータースポーツ界には必要になるのかもしれない。

鈴鹿サーキットでメディアの取材に答えたモビリティランド田中薫社長
鈴鹿サーキットでメディアの取材に答えたモビリティランド田中薫社長



(Tomoyuki Mizuno & Ryuji Hirano / autosport web)




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