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F1第4戦木曜会見:シューマッハー、僚友マゼピンの更迭の噂に困惑「どう答えていいのかわからない」

2021年5月7日

 第4戦スペインGP木曜会見のトップバッターは、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)とカルロス・サインツ(フェラーリ)のふたりのスペイン人ドライバーだった。1週間前のポルトガルGPでのアロンソは、13番手スタートから8位入賞と、素晴らしい結果を出した。ところが「母国グランプリへの準備はさぞや万端なのでは」と訊かれたアロンソは、「いや、全然だ」と答えた。


「新しいマシンを理解し、ピレリタイヤの挙動を思い出すには、まだもう少し時間がかかりそうだ。何も考えずに身体が自然に反応して操作するようにならなければ、マシン性能を100%引き出せないからね」


 対照的にサインツのポルトガルGPは、欲求不満の溜まるレース展開だった。


「5番手からスタートして11位でチェッカーという結果、しかも特に重大なトラブルもなかったことを思えば、何かが間違っていたという結論しか出ない。アグレッシブな戦略でいったけど、うまくいかなかったね」


 とはいえサインツにとっては、フェラーリドライバーとしての凱旋帰国となる。しかしこれまた、手放しでは喜べない状況だ。


「これでグランドスタンドに満員の観客がいたら、いうことないけどね」

カルロス・サインツJr.(フェラーリ)&フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)
2021年F1第4戦スペインGP カルロス・サインツJr.(フェラーリ)&フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)


 決勝日に入場が許されるのは、わずか1000人。それでもコロナ禍の収束が見通せない状況のなか、グランプリが開催されるだけでもよしとすべきなのだろう。


 ちなみにグランプリが開催される国のドライバーがふたり以上参戦している国は、スペインの他にはイギリスとドイツ、フランス、今年の開催が中止されたカナダと、F1開催には縁のないフィンランドを入れると計6カ国が複数のF1ドライバーを輩出している。合計で過半数を超える13人と、意外なほどに多い。


 次に登場したのは、バルテリ・ボッタス(メルセデス)とミック・シューマッハー(ハース)のベテラン、ルーキーコンビ。ボッタスに対しては、イギリスの一部メディアによる更迭報道についての質問が出た。ボッタスも当然それを予想して、事前に答えを考えてきたのだろう。まったく淀みなく、以下のようにスラスラと答えた。


──シーズン途中にジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)と交代させられるという報道もありました。当然否定するでしょうが、そういう噂が出ること自体、精神的に堪えるのでは?


ボッタス:全然そんなことないよ。シーズン途中に交代させられるなんてことが起きないのは、わかっているからね。だからプレッシャーも感じていない。そんなことをするチームはひとつしかない。まあF1ではこの種のでたらめが、時にまかり通るけどね。

バルテリ・ボッタス(メルセデス)
2021年F1第4戦スペインGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)


『シーズン途中でドライバーを交代させるチーム』は、いうまでもなく過去にダニール・クビアトやピエール・ガスリーを降格させたレッドブルを指す。ボッタスとしてはライバルに、きつい皮肉をお見舞いしたわけだ。


 同じような質問は同席したミック・シューマッハーにも投げられた。ただし彼の場合は、チームメイトのニキータ・マゼピンの更迭の可能性についてだった。開幕前の品位のない行為、コース上での強引な走りが他チームの不興を買い、ハースはマゼピン父からの多額の資金援助を断ってまで放出するという噂が出ているのだ。しかし「どう思うか」と訊かれたミックは、マスク越しでも困惑している様子ありあり。こう答えるのが精一杯だった。


「どうなんだろう……。正直、それにどう答えていいのかわからない。今は僕のパフォーマンスを、改善させることだけで頭がいっぱいだからね」


 今回角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)の隣に座ったのは、レッドブルの先輩マックス・フェルスタッペンだった。「レッドブルマシンはとにかく、風の影響をものすごく受けやすいんだ。そこに路面グリップの低さが加わるから、とにかく簡単じゃなかったね」と、ポルトガルGPでの戦いを振り返るフェルスタッペン。


 自分も同じような苦労を強いられたからか、角田はその言葉をひとことも聞き漏らすまいと、集中して聞いているように見えた。フェルスタッペンと角田という組み合わせ。将来的にこのふたりがチームメイトになる日が来ることを、夢見ずにはいられない。

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)&マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第4戦スペインGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)&マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)



(取材・文 柴田久仁夫)




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