開幕に向けて準備万端。最大の収穫は「2対2で戦えると確認できたこと」/ホンダF1山本MDインタビュー(1)
2021年3月19日
3日間にわたってバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたプレシーズンテストでは、マックス・フェルスタッペンが(レッドブル・ホンダ)トップタイム、2番手にはルーキーの角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)が続き、ホンダ勢が1-2という結果でテストを終えた。
ホンダF1の山本雅史マネージングディレクターによれば、テストは概ね想定通りに進み、2020年の開幕前よりもいい状況であるという。2021年はホンダにとってF1最終年となるが、レッドブルとアルファタウリがそれぞれ目標を達成できるよう努力していきたいと山本MDは語った。
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──テストが終わりました。レッドブル・ホンダについて、率直な感想をお聞かせください。
山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):ひとつ前置きしておきますけど、まだテストなので正直メルセデスや他車がどのくらい(のパフォーマンス)で走っていたのかわからないです。簡単に言うと燃料の積載量とか、攻めていたかもわからない。そんななか、レッドブルは移籍してきた(セルジオ・)ペレスがセッショントップタイムを刻んだり、いい走りをしてくれたと思うし、最終日の午後にはマックス(・フェルスタッペン)がトップタイムで走ったり、ふたりとも非常にポジティブなコメントをしてくれています。そういった意味では昨年の開幕前よりはいい状況なのかなと思っています。
レッドブルの車体も、昨年のRB16からRB16Bということで、改造できる範囲が少ないなかでいい方向に向かっていると聞いています。昨年のアレクサンダー・アルボンもいいドライバーではあったけど、まだまだ成長していくドライバーだし、そういった意味では強いマックスと経験豊富なペレスが組んだことで、昨年2対1の戦いだったのが、今年は2対2でやれるということを確認できたのが一番大きな収穫だったかなと思います。
──ライバルチームの方はわからないことがあると思うのですが、ホンダとしてテストの段階でどのくらいの満足度ですか?
山本MD:現場の田辺(豊治/F1テクニカルディレクター)とやりとりし、「テストは概ねやりたいこと、メニューは全部こなせたのできっちり来週(の開幕)に向けて準備できている」と言っており、概ね想定内です(山本MDはテストには帯同せず、イギリスに待機)。さすが浅木(泰昭/本田技術研究所 HRD Sakura センター長兼F1プロジェクトLPL)、さすが田辺だなと。ホンダのなかではやり切れています。
──ただ、意外と山本さん、浅木さん、田辺さんのコメントが慎重なのは、昨年の反省からですか。昨年はテスト終了後に山本さんは「今までにないほど晴れやかな気分です」と言っていましたよね。テストの結果だけを見れば、今年は昨年よりももっと晴れやかなはずなのに、慎重なのは昨年は期待していた結果を出せなかった反省が山本さんのなかにあるからですか?
山本MD:それはありますよ。確かに昨年はそれまでのテストのなかで一番充実していたし、晴れやかな気持ちでした。ところが、蓋を開けてみたらメルセデスの強さはさらに強固になっていて……。今年は浅木中心に研究所も各チームの毎年の伸び率分も考慮して開発してきました。
そのうえで、マックスがトップで角田(裕毅/アルファタウリ・ホンダ)だって2番手。ペレスも常に上位にいて、(ピエール・)ガスリーが7〜8番だったのには明確な理由がある。僕らの手の内で言えば昨年よりも充実しています。
ただレースって20台でスタートしてみないとわからないし、来週(開幕戦)の予選の結果で「ホンダは強かったね」、「テスト通りだったね」とみなさんに言ってもらいたいけど、「やっぱりホンダはまだまだ読みが甘い」と言われるんじゃないかという不安も昨年以上にあります。やっぱり、ファンをがっかりさせたくないですから。
──新骨格のパワーユニット(PU/エンジン)はもともと2022年に入れる予定が、新型コロナウイルスの影響で一旦断念し、でも7月に開幕してみたらかなりの差があって「これはまずい」ということでもう一回投入することになったわけですが、その最終的な判断も浅木さんだったということでよろしいでしょうか? または現場サイドから『メルセデスにはこのままでは勝てない』というような要求から再び開発を前倒ししたのか、そのあたりの経緯を教えていただけないでしょうか?
山本MD:浅木が(前日の囲み取材で)言った通りです。当時、研究所はコロナの影響で新骨格のパワーユニットは2022年に後ろ倒しして、2021年に向けては2020年型のパワーユニットをアップデートする方向で、ダブルで開発を行っていました。相当大変だったと思います。
■次のページへ:ホーナー代表からは「『チャンピオンシップを獲りにいこう』と言われました」
──そんななか、2021年限りでのF1参戦終了が発表されました。
山本MD:コロナで会社の先行きがどうなるのかわからない状況で開発を止めたのも事実です。約3カ月くらい、開発のスタートが遅れて大変だったと思いますが、そんななかで彼(浅木)が「やり切れる」と言ってくれたのも頼もしいし、実際プレシーズンテストでもほぼ想定していた通りのテストができました。
──山本さんはテスト前に「今シーズンはホンダとしては最後の年となる。第2期には16戦15勝を実現して、みなさまにも語り継いでいただいていますが、最後の年となる今年もすごかったねと言ってもらえるような記憶に残るシーズンにしたい」と言っていましたね。
山本MD:あれはね、16戦15勝っていうのはいまもみんなの記憶にあるでしょうということを言いたかったんです。そのような記憶に残るレースをして、ファンのみなさまに「2021年のホンダって、すごかったよね」と言ってもらいたいと、ひとつの例として言っただけ。23戦22勝できると思っていないし、世の中そんなに甘くない。あの時セナとプロストが16戦15勝したことは、いまでもみんなが覚えている。そういった記憶に残る、ホンダといえば88年もあるけど、2021年もすごかったねと言われるような記憶に残るシーズンにして、終わりたいという意味です。
──レッドブルとアルファタウリからは、ホンダに対して、どんなシーズンにしたいかというメッセージはありますか。
山本MD:クリスチャン(・ホーナー/レッドブルのチーム代表)からは「チャンピオンシップを獲りにいこう」と言われています。そして「それに向けて、我々(レッドブル)もRB16Bを頑張って作り上げていくから」と。アルファタウリからはフランツ(・トスト/チーム代表)に「セカンドグループのトップでシーズンを終えたい」と言われました。それを叶えられるようにホンダも努力していきたいです。
──ホンダの八郷隆弘社長から、シーズン開幕に向けて、どんな言葉がありましたか?
山本MD:もちろん八郷さんからは直接「今シーズンは何がなんでもやり切ってきてくれ」と言われていますし、田辺にもその話はしました。きっちり現場でやれることはすべて取りこぼしがないように、昨年の反省も踏まえてやっていきたいと思っています。
(Masahiro Owari)
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8/30(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
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予選 | 結果 / レポート | |
9/1(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
1位 | マックス・フェルスタッペン | 303 |
2位 | ランド・ノリス | 241 |
3位 | シャルル・ルクレール | 217 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 197 |
5位 | カルロス・サインツ | 184 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 164 |
7位 | セルジオ・ペレス | 143 |
8位 | ジョージ・ラッセル | 128 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 50 |
10位 | ランス・ストロール | 24 |
1位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 446 |
2位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 438 |
3位 | スクーデリア・フェラーリ | 407 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 292 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 74 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 34 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 28 |
8位 | BWTアルピーヌF1チーム | 13 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 6 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
第16戦 | イタリアGP | 9/1 |
第17戦 | アゼルバイジャンGP | 9/15 |
第18戦 | シンガポールGP | 9/22 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |