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【HOW TO BUILD A CAR】ウイリアムズ、マクラーレン、レッドブルを勝利に導いたニューウェイの頭の中がわかる本

2020年4月26日

 出版元の特権として、エイドリアン・ニューウェイの自伝『HOW TO BUILD A CAR』を一足早く読みました(PDFですが)。本人直筆のアイデアメモなども豊富に掲載されており、タイトルの通り技術ストーリーとして期待を裏切らない内容となっています。


 個人的に知りたかったのは、なぜニューウェイさんの頭の中から、速いクルマを生み出すアイデアが次から次へとあふれ出てきたのか、という点です。


 直感的に物事の本質を見抜けるとか、全く異なる事象に共通点を見出してヒントにするなど、頭脳の優秀さがそれを支えていることは本書に出てくるエピソードで確認ができます。いまだ鉛筆と製図板を愛していて、パソコンに向かうのではなく手描きであることも、なにかいい影響を及ぼしているのではないかと想像されます。


 それらと並んで、パーソナリティ自体が生まれ持った才能なのだなと実感させるのが、少年時代のエピソードです。校則に対抗してブーツに細工、規制を逃れてファッションを楽しんでいたとか、先生の言うことを聞かないいたずら小僧だったようです。


 規則の穴を見つけ自分がやりたいことを達成する。この手法はレーシングカー設計とも共通しています。法の目指す精神は横に置いて、規則の文面を読み込み、解釈の余地をみつけて性能に活かす。ニューウェイが長年レーシングカー設計で取り組んでいたことです。


 物事をまっすぐみるだけでなく、遊び心を持つことがよりよい仕事につながるのだと教えてくれます。スイッチが入ればバカンス中のビーチも、ベッドの上も発想を練る場に変わってしまう。仕事が一番自分のやりたいことであり、いくらでも没頭できる。その上、成果もついてくるのですから、羨ましいことこの上ないですが、家族からは理解されないこともあったようです。


 先をイメージする戦略性にも卓越したものがあります。モータースポーツが大好きでエンジニア志望のニューウェイ少年は、大学進学にあたって機械工学ではなく、航空宇宙工学を専攻します。レーシングカーをつくることに直結するのは機械工学です。しかし、今後空力がレーシングカーに欠かせないものになると判断して専攻を決めました。


 今ならその選択は合理的であると理解できますが、1977年のことです。ロータス78によってグランドエフェクトがようやく“発見”されたようなタイミングです。『Autosport』(もちろん英国版)を通じての情報ぐらいしかない時代に、先見の明があったことはその後のキャリアが証明しています。


 戦略性につながる意外な一面が垣間見られるのはレッドブル移籍直後、組織改革へのアプローチです。機械ではなく心を持つ人間が相手でも、他人が考えることの裏をかくニューウェイのやり方はどこかでレーシングカーデザインに共通しているように思えました。組織を変えるための方法として、常識には収まっていません。


 メカニズムに詳しいマニアだけに向けた本では決してなく、F1とF1に関わる人への理解をより深めてくれる一冊です。

『エイドリアン・ニューウェイ HOW TO BUILD A CAR』の詳細と購入はこちらから
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『エイドリアン・ニューウェイ HOW TO BUILD A CAR』
訳/水書健司 監修/世良耕太
発行元/株式会社 三栄
ハードカバー・656ページ
定価5280円
2020年4月28日(火)発売


三栄オンラインや通販サイトにて予約受付中
https://www.sun-a.com/magazine/detail.php?pid=11299





(Seiichiro Aritomi)




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