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日本とヨーロッパの違いを理解し、誰よりも勤勉に働く叩き上げのチーム代表/F1レース関係者紹介(3)

2020年4月14日

 F1には、シリーズを運営するオーガナイザーを始め、チーム代表、エンジニア、メカニック、デザイナー、そしてドライバーと、膨大な数のスタッフが携わっている。この企画では、そのなかからドライバー以外の役職に就くスタッフを取り上げていく。


 第3回目となる今回取り上げるのは、スクーデリア・アルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トスト。日本とヨーロッパの違いを理解し、勤勉に仕事をこなす叩き上げのチーム代表を紹介する。


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 90年代あたりまでのF1にはチーム代表という言葉は存在しなかった。なぜなら、自らチームを立ち上げたオーナーが、現場のボスとして指揮を執っていたからだ。その後F1のビジネスが大きくなるにつれて、チームが投資の対象となって売買されるようになった2000年代に入ると、オーナーはお金と口を出すだけとなり、現場をまとめる役職が現れるようになる。それがチーム代表だった。


 このチーム代表には、大きく分けて3つある。ひとつは元レーシングドライバー。ふたつ目は敏腕ビジネスマン。そして、もうひとつが、いわゆる“叩き上げ”のレース屋だ。


 今年、トロロッソからチーム名を変更したアルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トストは、下積み時代にさまざまな苦労を経験し、腕を磨いてF1のチーム代表となった叩き上げタイプである。


 トストのレース人生は、母国であるオーストリアから始まった。フォーミュラ・フォード、F3などに参戦した後、レッドブルリンク(当時はエステルライヒリンク)で活動していたウォルター・レヒナー・レーシングスクールでインストラクターとして、レースの第二の人生をスタートさせた。


 1993年にはミハエル・シューマッハーのマネジメント担当を務めていたウィリー・ウェバーのマネジメント会社に入り、ミハエルの弟のラルフ・シューマッハーが日本の『フォーミュラ・ニッポン』に参戦したときには、サポート役として1年間、日本で生活していた経験を持つ。


 F1で仕事を開始したのは2001年。F1に進出していたBMWからトラックオペレーションマネージャーを任された。その後、2006年にディートリッヒ・マテシッツがレッドブルに続いてミナルディを買収してトロロッソが誕生すると、マテシッツがチーム代表として白羽の矢を立てたのは、BMWで黙々と仕事をこなしていたトストだった。

F1レース関係者紹介
チーム創設時から代表を務めるフランツ・トスト(左)とヘルムート・マルコ博士(レッドブルのモータースポーツアドバイザー/右)


 トロロッソというチームは、当時のF1では珍しい存在だった。それまでのF1は完全な独立チームしかなかったが、トロロッソはレッドブル・テクノロジーを介して技術的にレッドブルからさまざまなサポートを受けていた姉妹チームだったからだ。


 そのチーム代表には、チームをまとめる力だけでなく、親会社の言うことを忠実に聞く子会社の社長のような寛容さが必要となる。下積み経験が長かったトストは、その部分に長けていた。

F1レース関係者紹介
寛容さも持ち合わせるトスト代表


 自分が育てたセバスチャン・ベッテル、ダニエル・リカルド、マックス・フェルスタッペンがレッドブルに引き抜かれても、文句は絶対に言わない。逆にレッドブルが必要ではないと判断した自チームのドライバーに対して、時には冷酷なまでに契約を解消してきたこともある。


 日本で生活した経験があることから、日本人の価値観がヨーロッパと違うことをきちんと理解しており、2018年からホンダとパートナーを組む際には、チームスタッフに日本の文化を学ばせるための勉強会を開いたほどだった。

F1レース関係者紹介
(左から)フランツ・トスト代表、ホンダF1山本雅史MD、チェイス・キャリーCEO


 そもそも、決して大袈裟なことは言わず、コツコツと仕事に取り組むトストは、日本人以上に日本人らしいところがある。例えば、日本人は勤勉で有名だが、トストも負けていない。昨年のカナダGPでは、今後レース数が増えることに対しても、こう語っていた。


「レースが増えても私は一向に構わない。なぜなら、レース数が増えれば、それだけ多くのお金が入ってくる。家族の問題? 私には関係ない(トストは独身)。年間52週あるのだから、最大26レースは可能だ!!」


 トストがここまでレースに没頭するのは、彼が単にレース好きというだけではない。1994年のサンマリノGPで事故死したローランド・ラッツェンバーガーは、若い頃に一緒にレースをしていた親友だった。その親友が亡くなったイモラは、アルファタウリのファクトリーがあるファエンツァと目と鼻の先にある。


 初代チームオーナーが次々とチームを離れ、残っているオーナーもレース現場に姿を見せなくなった現在のF1で、レースを愛し、現場を大切にするチーム代表としてトストの右に出る者はいないだろう。F1レース関係者紹介



(Masahiro Owari)




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