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完璧に仕事を遂行したフェルスタッペンの“大人の走り”【今宮純のF1シンガポールGPドライバー採点】

2018年9月20日

 F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。今回は第15戦シンガポールGP編だ。


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☆ ストフェル・バンドーン

F1第15戦シンガポールGP ストフェル・バンドーン


 2018年シーズン限りでマクラーレンの離脱が決定したが、このところフリー走行1回目でいきなりトラブル続きだ。ベルギーGPは13周、イタリアGPでは9周、そしてシンガポールGPでも11周、不運な連続20番手。フェルナンド・アロンソと同じマシン仕様でなく、パーツテストも行うが周回数があまりに少ない。自分が好むセッティングにはもっていけない。そんな境遇で予選18番手から決勝12位の“アップ・レース”は善戦している。


☆ ピエール・ガスリー

F1第15戦シンガポールGP ピエール・ガスリー
F1第15戦シンガポールGP ピエール・ガスリー


 最初から最後までシャシーバランスに苦しみ、トラクションを得られず大苦戦。「我慢のレース」を13位でまとめた。トロロッソ・ホンダの得意コースでなぜこうなったのか、教訓にせねば……。


☆☆ ランス・ストロール

F1第15戦シンガポールGP ランス・ストロール、エステバン・オコン


 最後尾からグリップ感のないソフトタイヤで全力疾走、集中心を切らさず14位は“敢闘賞レース”。昨年も予選18番手→8位、ストリートコースではカナダGP、そしてアゼルバイジャンGPでものし上がってくる(モナコGPは別だが)。


☆☆ ニコ・ヒュルケンベルグ

F1第15戦シンガポールGP ニコ・ヒュルケンベルグ


 10番グリッドは厳しい。予選使用済みハイパーソフトでスタート、後方からの新品のウルトラソフトタイヤ勢に攻略された。それでも自身150戦目に1点、ポイントを確実に取りこみ依然ドライバーズランキング7位(トップ3チームを除いた“Bリーグ”勢の首位堅持)。

■らしくない週末をすごしたセバスチャン・ベッテル

☆☆ セバスチャン・ベッテル

 ひとこと、「彼らしくない週末」だった。FP2のアタック練習ラップにミス、21コーナーで壁を直撃。ここを“寸止め”でかすめるのが得意なシンガポール・マイスターが、やってしまった。本人は「週末の流れには影響しない」と強気発言、がその裏に相当プレッシャーがかかっていると感じた。


 ライコネンの去就が発表されてからベッテルの心境は揺れ、表情がこわばって見える。決勝では予選3番手からスタートですぐ2番手に上がり、最速ポールポジションスタートのルイス・ハミルトンに挑もうとアグレッシブな戦略に出たが失敗。気落ちしたのか大差39.945秒遅れの3位、元気だせよ、セブ……。


☆☆☆ シャルル・ルクレール

 学習モードから徐々にペースを上げ、決勝9番手まで上がっていた25周目、12コーナー出口で右側をヒット。このミスから学びやや慎重なラインワークに修正、しっかり先を見据えてレースへ。中盤のガスリーとの接近戦では落ち着いて、相手がロックアップするのをウオッチ、抜くべきタイミングでパス。新人ながらうまい“実戦遂行力”をまた見せつけた。


☆☆☆ カルロス・サインツJr.

 昨年トロロッソで自己最高ベストレース4位、このコースには自信があり初日トップ7内をキープ。予選で急にリヤのグリップを失い12番手、そこからアロンソと“スパニッシュ・バトル”の末に8位。2018年リタイアはたった一度きり、一貫したレース安定性が際立つ。

■ラストラン・シンガポールで力走のフェルナンド・アロンソ

☆☆☆ キミ・ライコネン

 FP2トップタイム、フェラーリに来てからシンガポールでは初めてだ。危なげないクリーンな走りで順調に進めていたのに予選で狂った。コースイン・タイミングの影響か、前後タイヤ温度が整わないままアタックに。セクター3で強いオーバーステア症状に陥り5番手、この予選がすべてだった……。ベルギーGP以降しばしばベッテルに先行、いま乗れているキミ。


☆☆☆☆ フェルナンド・アロンソ

 Q2アタックを10番手で終え、最後にヒュルケンベルグに抜かれて11番手に。これを狙っていたかのようにタイヤ選択自由なメリットを得る。スタート後3コーナー出口で“フォース・インディア2台”が接触、その寸前に予測したかのように左へ回避。右前輪がデブリを踏みそうになるのもさばいて9番手を確保、実にあざやかなリアクションプレー。44周目時点での最速ラップも出し、11戦ぶりに7位、『ラストラン・シンガポール』を飾る。目に焼き付けておきたい、あと6レース。


☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン

 ヒーローインタビューで最速王はマシンの前にしゃがみ込み、心地よい“疲労感にひたっているかのようだった。マラソンタイムに近い長時間61周レース、その最後までペースを保ったのが素晴らしい。個人的にはルイスが5冠に向け、レースごとに老けていっていくような気がする。


☆☆☆☆☆ マックス・フェルスタッペン

 ただの予選2番手ではない。土曜日はエンジン・ドライバビリティの変調を何度も訴えながら、完璧なドライビングでハミルトンとの差をわずか0.3秒にしたのは信じられない結果だ。23コーナーもあり、ギヤシフト84回(ルノー・データ)のこのコースだけに至難の技だ。


 決勝ではトップのハミルトンが中盤、周回遅れ集団に行く手を阻まれたときは強引に仕掛けず、むしろフェアに控えた。いままでとは違う『大人のレース』を見た気がする。付け加えるとレッドブル9年連続表彰台、もう少しパワーユニットのパワーがあったならマックス対ルイス、どうなっていたことか。今回のレースは彼に5星を授けたい――。



(Jun Imamiya)




レース

5/4(土) フリー走行 1:30〜2:30
スプリント予選 5:30〜6:14
5/5(日) スプリント 1:00〜02:00
予選 5:00〜
5/6(月) 決勝 5:00〜


ドライバーズランキング

※中国GP終了時点
1位マックス・フェルスタッペン110
2位セルジオ・ペレス85
3位シャルル・ルクレール76
4位カルロス・サインツ69
5位ランド・ノリス58
6位オスカー・ピアストリ38
7位ジョージ・ラッセル33
8位フェルナンド・アロンソ31
9位ルイス・ハミルトン19
10位ランス・ストロール9

チームランキング

※中国GP終了時点
1位オラクル・レッドブル・レーシング195
2位スクーデリア・フェラーリ151
3位マクラーレン・フォーミュラ1チーム96
4位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム52
5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム40
6位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム7
7位マネーグラム・ハースF1チーム5
8位ウイリアムズ・レーシング0
9位BWTアルピーヌF1チーム0
10位ステークF1チーム・キック・ザウバー0

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