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今宮純の決勝インプレッション:“逆スパ・ウェザー”の混乱で、ベテランが大勝利

2016年8月30日

 青空のスパ・フランコルシャン、今シーズン一番おもしろいレーシング・ゲームではなかったか。最後列21番手からルイス・ハミルトンが「18アップ」の3位、フェルナンド・アロンソも22番手から「15アップ」の7位。王者たるもの者、修羅場になればなるほど、さすがに強かった。


 ラ・ソースの事故から始まった第13戦ベルギーGP。マックス・フェルスタッペンは、そこが自分のために空いているかのように思い、インサイドに飛び込んで行った。過去、何人がそうやって混乱劇をつくったことだろう。諺にある『若気の至り』だ。先人たちは大外刈りのアウトサイド・ラインで混乱を回避。熱くならず、どこまで冷静にいられるか……ラ・ソースは新鋭の裁量を問うのにふさわしいコーナーだ。(2012年の“おじゃん・グロージャン大事故”覚えていますよね)。


 アロンソは予測していたに違いない。中継画面から消えるくらい大回りしながらホンダ新パワーユニットのフルパワーでオー・ルージュ、ケメル・ストレートへ。個人的にはスタートから彼とハミルトン2台に絞ってヘリ上空映像で追っかけてほしかった。この1周でアロンソは10台抜き12位、ハミルトンも6台抜き15位へ。“逆フロントロウ”の王者ふたりが何をやるか、我々はワクワクしていたのだから五輪中継のようにスター選手をフォローしてほしかった。F1レーシング・ゲームは、ドライバーの真剣勝負。抜くか、ぶつかるか、スピンか、一瞬プレーの連続を、もっと見たい。


 今年は連日30度が続く“逆スパ・ウェザー”となった週末、タイヤはオーバーヒート、マシン&パワーユニットも想定外のオーバーヒート状態に。それを克服するのはエンジニアたちの仕事、戦略プランを何十パターンもシミュレートするのがストラテジストの役割だ。それで難コースに挑み、戦うのがドライバーたち。


 6周目、オー・ルージュ上り坂地点でケビン・マグヌッセンがクラッシュ。ややオーバースピードに見えた。1999年に大改修されエスケープが広くなっていて、ぶ厚いタイヤバリアによって助かった。まずセーフティカー状態となり、それからの赤旗は適切な判断だった。ベテランぞろいのコースマーシャルに復旧作業に集中してもらい、彼らも迅速に動いた。長いコースあちこちに補修用タイヤバリアを準備するなど、伝統あるスパ24時間耐久を継続開催してきた彼らはル・マンやモナコ、インディ、わが鈴鹿のみなさんも含めて最高レベルだと思う。他のグランプリも見習ってほしい。赤旗中断から17分後、コースは完全に修復された。


 この突然の事象によってタイヤ選択やレース戦略などが分かれた。幸運と不運が交錯。しかし、それもゲームのうちで一喜一憂している場合ではない。首位ニコ・ロズベルグの心理はハミルトンが5番手まで迫り、赤旗中に自分と異なるソフトタイヤを履いたことが、やや気になっただろう。ライバルとの間で壁になってくれると思われたフェラーリ勢とフェルスタッペンは後退、2位ダニエル・リカルド、3位ニコ・ヒュルケンベルグ、4位アロンソが間にいるだけだ。戦況をしっかり把握すればリカルドだけをマークすればいい。ハミルトンの3位=15点は、ほぼ確実だから、自分は1位=25点を絶対確保すること。終盤ペースは1分53〜54秒台、ロズベルグは単独走になると今シーズン序盤見せたように粛々と刻み、44周トップのまま自身20勝目。首位ハミルトンに9点差で後半初戦をまとめた。


 終わってみればロズベルグはポールポジションから、スパで初めて完勝。2位リカルドは3レース連続表彰台、3位ハミルトンはロズベルグとの得失点差をマイナス10点で乗り切れた。三者三様の達成感が感じられた表彰台の下で、フェルスタッペンが今季ワースト11位で終わり、初日から駆けつけたオランダ人ファンは空騒ぎ状態に。金曜1位、土曜2位、そして日曜11位、この夏ベルギーGPの週末を彼はメモリー保存することだろう。



(Text : Jun Imamiya)




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