【レースの焦点】姑息なほどに、頭脳的で緻密なメルセデスの戦略、感情的で短絡的だったベッテルのアンダーカットへの挑戦/F1第15戦シンガポールGP
2018年9月19日
メルセデスの戦略は、姑息なほどに頭脳的で緻密──。自分たちには超スローペースのアウトラップが必要なことを承知のうえでフェラーリより先にコースインし、フェラーリのアウトラップを乱した。
いまのメルセデスには、面白いほどフェラーリの心理が読めるのだろう。レースでも、1周目のターン7で2番手に上がったベッテルがアンダーカットをトライしてくることを100%予測していた。予選より10秒も遅いペースでセーフティカー明けの第1スティントを走り始めたハミルトンは、12周目に突然2秒以上ペースを上げた。
11周目までスローペースで走ったことによって、トップ6だけでなく7番手のセルジオ・ペレスまでがトップと10秒差。12周目から急激にペースアップしたことによってフェラーリにアンダーカットを促すと同時に、トップ6以外の“伏兵”ペレスをベッテルのピットウィンドウ内に置いた。そしてハミルトン自身は自らのピットインまでペレスより4〜5秒速いラップタイムで走り続け、わずか3周でペレスをピットウィンドウの外に追いやった。
結果、14周終了時点でピットインしたベッテルはペレスにつかまり、1周後にピットインしたハミルトンは余裕を持ってペレスーベッテルの前でコースに戻った。
ベッテルは「アグレッシブな作戦に後悔はない」と言った。「誰も責めるつもりはない。チームには僕より多くのことが見えているのだから、僕は彼らを信頼して走る」と賢明にチームを擁護した。
それでもアンダーカットに賭けてウルトラソフトを履いた直後には、「また遅すぎたよ。このタイヤじゃ最後までも保たないだろう。“手遅れ”になる前に、他に誰か接戦してる相手がいたら教えて」とピットに伝えていた。
ハミルトン/メルセデスでは、作戦の100%をチームが管理し、ドライバーが考え込むような余地を与えない。そのため「このタイヤでいいの?」「前とのギャップが大きすぎるよ」とドライバーが質問することもある。それは“ドライバー主体のスポーツ”として観戦しているとあまり面白いことではないのだけれど、成功体験を重ねることによって、ドライバーが100%ドライビングだけに集中できるメリットを持つ──。いまのメルセデスは、この長所を活かす最高のバランスを見出している。
フェラーリの場合は、役割分担が明確ではない。ハミルトンとは逆に、誰よりも遅くまでパドックに留まってエンジニアとのミーティングを重ねるドライバーがいるのに、その結果は堂々巡りに陥っている印象を与える。レース中のコミュニケーションにおいても主旨がはっきりしない──。ベッテルのミスがよく批判されるが、ベッテルの良さを最大限に活かす環境をチームが用意できていないのも事実だ。
今回も、ベッテルが「アグレッシブな作戦」と表現したアンダーカットへの挑戦は、あまりにも感情的で短絡的だった。ポジションを覆すためにはあと数ラップステイアウトして(可能であれば)ハミルトンとの間隔を詰めないとチャンスはなかったし、少なくともペレスの前でピットアウトできるまで待ち、最低でもマックス・フェルスタッペンにオーバーカットされるリスクは避けるべきだった。
ドライバーとチームの微妙な関係がいつも以上に浮き彫りになったシンガポール。勝負が“チームによる作戦”にかかっている環境においても、ドライバーの存在感を爽快に披露したのがフェルナンド・アロンソ/マクラーレンだった。
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予選 | 23:00〜 | |
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※マイアミGP終了時点
1位 | マックス・フェルスタッペン | 136 |
2位 | セルジオ・ペレス | 103 |
3位 | シャルル・ルクレール | 98 |
4位 | ランド・ノリス | 83 |
5位 | カルロス・サインツ | 83 |
6位 | オスカー・ピアストリ | 41 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 37 |
8位 | フェルナンド・アロンソ | 33 |
9位 | ルイス・ハミルトン | 27 |
10位 | 角田裕毅 | 14 |
※マイアミGP終了時点
1位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 239 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 187 |
3位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 124 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 64 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 42 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 19 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 7 |
8位 | BWTアルピーヌF1チーム | 1 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 0 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
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