パワーユニットを交換したことによって、最後尾スタートが決定している角田裕毅（RB）にとって、F1第14戦ベルギーGP土曜日の予選でやるべきことはふたつあった。

　ひとつは、チームメイトのダニエル・リカルドにスリップストリームを使わせてQ3進出を助けることだ。しかし、土曜日のスパ-フランコルシャン・サーキットは昼前から降り出した雨が予選直前まで降り続き、予選はウエット路面が宣告されるなかで開始された。そのため、マシンは大きな水しぶきを上げながらの走行となり、スリップストリームは使えない状況となった。

　こうなると、角田にとって残された使命はひとつだけ。それは、絶対にマシンを壊すことなく、予選を終えることだ。

　この日、雨のなかで行われたフリー走行3回目ではランス・ストロール（アストンマーティン）がオー・ルージュから駆け上がるラディオンでアクアプレーニング現象を起こし、スピン。バリアに衝突し、マシンの左前部に大きな損傷を負うという事故を起こしていた。

　前戦ハンガリーGPの予選でクラッシュしていた角田にとっては、2戦連続での予選における事故は避けたい。そもそも、今回の予選で角田には限界まで攻める走りは求められていないからだ。

「今週末、僕たちはエンジンペナルティがあるので、今日は通常の予選とは違いました。特に今日のような路面コンディションではアクシデントが起きやすいので、気をつけました」

　18番手でノックアウトされた角田だが、日曜日のレースに向けて、収穫もあった。それは金曜日のフリー走行でフロアにトラブルが起きて、満足な状態で走行できなかった問題が解決していたことだ。

「空力パッケージをすべて新しくして、今日はまったく問題ありませんでした。金曜日はかなりダウンフォースを失った状態で走っていましたが、今日はコンディションは異なりますが、いまのところ問題は解決したようです。データを収集することができたのもよかったです」

　そして、予選が終了した時点で20番手からスタートすることが予定されている日曜日のレースに向けて、こう語った。

「ここでのレースではDRSトレインが形成されることが多いので、オーバーテイクは簡単ではないです。それでも、クルマと戦略を最大限に活かしてチームとして機能させ、ポイントを獲得したい。日曜日が予報通り完全なドライのレースになったら、ポイントを狙うことも可能だと思います」

　ハンガロリンクで披露した素晴らしいタイヤマネージメントをもう一度、見せてほしい。