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レッドブルとホンダが証明しつつある“反メルセデス流”純メーカーチームでなければ勝てない時代は終焉か

2021年7月1日

 メルセデス4連敗は、裏を返せばレッドブル・ホンダの4連勝であった。


 1991年のマクラーレン・ホンダによる開幕4連勝に並ぶ記録なだけに、レース後のホンダF1山本雅史マネージングディレクター(MD)の口ぶりも「次の目標は1988年、伝説の開幕11連勝ですか」と軽やかだった。ただし、山本MDはすぐに「もちろんそんな簡単なものではないですし、いまのは単なる冗談として聞いてください」と釘を刺すことも忘れなかった。


 とはいえ、今回の勝利は山本MDがついそう言いたくなるほどに王者メルセデスを圧倒したものだった。


「昨年のレッドブルリンクでは苦戦を強いられたのが、今回はまさに真逆の関係になりました。マックス(フェルスタッペン)がポール・トゥ・ウイン、完璧なレースを戦った。残り20周を残して10秒のギャップ。事前に立てた戦略どおりでした」


 そして今回の勝利はレッドブルとホンダが組んで以来、通算10勝目でもあった。初年度は同じレッドブルリンクでの初優勝を含め3勝、昨年はレース数が17戦と少なかったこともあるが2勝にとどまった。それが、今季は序盤8戦ですでに5勝を挙げている。


 その要因は、山本MDがこれまで何度も言ってきたように「レッドブルとホンダの歯車がガッチリ噛み合ってきた」ことに尽きるだろう。

2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が優勝
2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が優勝


 ホンダが前倒しで投入した新世代パワーユニット(PU)は、パフォーマンスの大幅な向上に成功しただけでなくレッドブルの車体開発にも大きく寄与した。コンパクト化、低重心化によってRB16Bの空力自由度が上がり、さらに戦闘力を増した。


 今季、フロアとディフューザーに加えられた技術規約の変更もレッドブルに不利と当初は見られていた。フロア下からディフューザーへの気流の制御で強大なダウンフォースを発生するハイレーキの効果が大幅に削がれると危惧されたのだ。しかし、今季のRB16Bはむしろ昨年悩まされ続けたリヤのナーバスな挙動の改善に成功している。


 とはいえ、ピエール・ガスリーやアレクサンダー・アルボンらが手こずったハイレーキ独特のシャープな挙動特性はいまも健在だ。ベテランのセルジオ・ペレスなら充分に対処してくれるはず……と今季抜擢したわけだが、当初はさすがに戸惑っていた。それでもアゼルバイジャンで移籍後初優勝、ポール・リカールでも表彰台に上がった。


 ところが、今回のレッドブルリンクではレースで巻き返したものの、一発の速さでフェルスタッペンに大差をつけられることが多かった。予選ではマクラーレンのランド・ノリスにも先行され5番手に終わっている。これについて山本MDは、「ここに来てレッドブルのマシンパッケージは、マックスがより速さを発揮しやすいクルマに仕上がっている」という見解を示した。


「レッドブルリンクで言えば、とくにターン9の下りながら進入していくところですね。そこがすごく機敏に動いている。なのでマックスは余計なステアリング操作をしていない。ひとランク上がったクルマにペレスがまだ追従できていない。それだけだと思います」


 だとしたら今後、フェルスタッペンは再びメルセデス2台に対して孤独な戦いを強いられる恐れもあるということか。しかし、山本MDはそれを笑って否定した。


「そこはペレスですから、これから1〜2戦で最適なドライビング方法を見つけて同じように速くなってくれると思いますよ」


 現在のレッドブル・ホンダはマシンパッケージの性能、ドライバーのパフォーマンス、そして何よりチームの総合力が、メルセデスを凌ぐレベルに達している。F1ではこれまで、車体とPUを同一組織で開発する純メーカーチームでなければ絶対に勝てないと言われてきた。メルセデスの7連覇がまさにそれを証明していた。しかし、違うアプローチもあることをレッドブルとホンダは証明しつつある。


※この記事は本誌『オートスポーツ』No.1556(2021年7月2日発売号)からの転載です。

2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)

2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP レッドブル・ホンダの記念撮影
2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP レッドブル・ホンダの記念撮影

マックス・フェルスタッペン&セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第7戦フランスGP マックス・フェルスタッペン&セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)

auto sport No.1556(2021年7月2日発売号)の詳細はこちら
auto sport No.1556(2021年7月2日発売号)の詳細はこちら




(Kunio Shibata)




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