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【角田裕毅を海外F1ライターが斬る】第6戦:突然の大きな飛躍。この調子でレッドブルを悩ませる存在になれ
2021年6月17日
2021年に7年ぶりに日本人F1ドライバーが登場した。アルファタウリ・ホンダからF1にデビューした角田裕毅だ。極めて高い評価を受け、大きな期待を担う角田を、海外の関係者はどう見ているのか。今は引退の身だが、モータースポーツ界で長年を過ごし、チームオーナーやコメンテーターを務めた経験もあるというエディ・エディントン(仮名)が、豊富な経験をもとに、忌憚のない意見をぶつける。今回は第6戦アゼルバイジャンGP編だ。
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モナコGPの後、私は角田裕毅に向けて、「小さなステップを積み重ねて長いシーズンを戦っていきなさい」というメッセージを送った。次のバクーでの彼を見て、あのアドバイスは彼の元に届かなかったのかなと思った。なぜなら彼は、小さなステップではなく、いきなり大きな飛躍を遂げたからだ。それはとてもいいことなので、素直に喜びたいと思う。
角田は初めて予選Q3に進出し、決勝ではランド・ノリスを後ろに抑えながらレースの大半を走り、自己ベストの7位でフィニッシュ。彼の貢献もあって、コンストラクターズ選手権でアルファタウリはアストンマーティンを抜いて5位に浮上した。
ドライバーにとっては、才能、天性のレース技術、生まれつきのスピードがあるかどうかがすべてだ。それらの代わりになるものは何もない。かつて、世界のトップドライバーたちを走らせた経験から言うが、才能と天性のスピードがあれば、脳みそが半分しかなくても、どうにかなる。どうにもならない場合もたまにはあって、そういうときには私が必要な知識を叩き込んでやった。たとえばどんな風にやったかというと……。
だいぶ脱線してしまったが、つまり、何が言いたかったかというと、角田には才能がある、ということだ。
アゼルバイジャンの話に戻ろう。ルーキーが決して侮ってはならないコース、それがバクーだ。確かにほとんどのコーナーにランオフエリアがあるけれど、ターン15と16では、少しでもミスをするとウォールに激突することになる。
ファエンツァに引っ越して、フランツ・トストのもと、軍隊のような生活を送るようになったのがよかったとは言わないが、角田は今回は慎重なアプローチで週末をスタートした。FP1では14番手、ピエール・ガスリーとの差は1.6秒だった。
金曜午後にはチームメイトとの差は0.6秒に縮まり、角田は10番手につけた。ガスリーがバクーのエキスパートであることを考えれば、立派なものだ。
FP3では、ガスリーがこのセッションの最速タイムを記録して、ふたりの差は1秒近くにまで広がったが、角田も8番手に浮上した。アルファタウリ・ホンダのマシンとバクーの相性は非常に良かったようだ。
■野心家の角田。その才能を証明し続けていってほしい
だがバクーの予選は、赤旗に大きく影響される。そのため大事なのは、第一に、自分が赤旗の原因を作らないこと、第二に、中断されないうちに速いタイムを記録することだ。
予選Q1では、ランス・ストロールとアントニオ・ジョビナッツィがターン15で壁にぶつかったものの、彼らより経験のない角田は、ガスリーから0.2秒落ちの11番手タイムでQ1を通過した。
Q2では、今度はバクーでの優勝経験があるダニエル・リカルドがクラッシュ。一方で角田は冷静に走り、1回のランだけで4番手タイムをたたき出してみせた。Q2最速タイムからわずか0.029秒差、ガスリーより0.3秒も速いタイムだ。
そして勝負のQ3。角田は2回目のランでターン3の壁にぶつかってしまった。しかしその前に出したタイムで8番手を確保できた。アロンソとバルテリ・ボッタスに勝ったことは、彼にとって大きな収穫だろう。
日曜にも理想的といっていいほどスムーズなレースができた。スタートで順位を失ったり、ピットストップでセバスチャン・ベッテルに前に出られるなど、いろいろありながらも、マックス・フェルスタッペンのタイヤがバーストした後には6位につけていた。
確かに最後の2周のスプリントでポジションを落としたのは残念だった。彼自身、そのことで自分に腹を立てていたが、それも、彼が野心家である証拠だ。すべてをうまくやれれば自分にどれだけのことができるのか、彼は知っているのだろう。
トストが率いる軍隊での最初の1週間について、角田が楽しくなかったと言っていたと聞いて、私は大笑いした。私が教育係なら、軍曹のように仕切りまくることなく、自由に正しい方向へと導いてあげられるのに。だが、角田についての決定権を握っているのは、フランツとマルコ爺さんだし、彼らは外から口出しされるのを好まない。角田は今の環境のなかで精一杯のことをしていくしかない。
彼にはこの調子で才能を証明し続けていってほしい。そうすればレッドブルは、2023年あるいは2024年のドライバー選択に大いに頭を悩ませることになるだろう。
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筆者エディ・エディントンについて
エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。
ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。
しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。
ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちのある握手はバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。
(Eddie Eddington)
関連ニュース
1位 | マックス・フェルスタッペン | 77 |
2位 | セルジオ・ペレス | 64 |
3位 | シャルル・ルクレール | 59 |
4位 | カルロス・サインツ | 55 |
5位 | ランド・ノリス | 37 |
6位 | オスカー・ピアストリ | 32 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 24 |
8位 | フェルナンド・アロンソ | 24 |
9位 | ルイス・ハミルトン | 10 |
10位 | ランス・ストロール | 9 |
1位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 141 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 120 |
3位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 69 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 34 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 33 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 7 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 4 |
8位 | ウイリアムズ・レーシング | 0 |
9位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 0 |
第5戦 | 中国GP | 4/21 |
第6戦 | マイアミGP | 5/5 |
第7戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5/19 |
第8戦 | モナコGP | 5/26 |
第9戦 | カナダGP | 6/9 |