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今宮純による中国GP ドライバー採点&短評

2016年4月21日

 今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、22人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選ぶ。レース結果だけにとらわれず、3日間コース上のプレーを重視して採点する。


☆ エステバン・グティエレス
 あまりのトラブル連鎖に同情したくなった。開幕2戦リタイア後、上海でもギアボックスやブレーキに不具合が起き、雨のFP3でなんとか7周。予選が初めてのドライ走行、Q1の18位はロマン・グロージャンに0.345秒差で健闘。集団戦の決勝ではDRSが完全でなく苦戦しながら復帰後初の完走14位。彼自身ここでのベストリザルトを。


☆ セバスチャン・ベッテル
 2位でも一つ星。1コーナー事件でクビアトを非難、審査委員アラン・ジョーンズ氏は審議対象にせず「レーシングアクシデント」と判断。セルジオ・マルキオンネ会長が来ていただけに同士討ちはカッコ悪い。そこであの発言になったのだろう(その心情は理解できる)。オンボードカメラ映像では、直線でもステアリング角度などからアライメントが正常でないのが見てとれた。意地の2位挽回、面目は保ったベッテル。


☆☆ ルイス・ハミルトン
 魔の1コーナー、開幕3戦ともクリアできないチャンピオン。予選はパワーユニットトラブルで、ノータイム、22位グリッド決定。14年ハンガリーGPの時にはピットスタートを選択し3位入賞。ここの渦巻状1コーナーのリスクを考えれば同じ選択をすると思われたが、ピットからスタートすると計算上8秒ロス、それを嫌った。案の定、密集するなかでもらい事故、危くノーポイント・レースになるところだった。この7位がどういう意味を持つか、これから明らかになる。


☆☆ フェルナンド・アロンソ
 コクピットにおさまる仕草がぎこちなく、その様子から痛みがまだ相当あると察した。上海は縁石をカットするところは少ないが、それを避けるラインを意識。12位はともかく56周完走できたことに価値あり、早く体調万全になるのを願う。


☆☆ マックス・フェルスタッペン
 累積ペナルティ・ポイントがあるだけにやや慎重なレース展開だった。1周目は12位にダウン、SC後は18位まで後退、そこから徐々にペースをつかみ8位へ。これで13戦連続完走、ちょっぴり大人ぽいレースを見せた。


☆☆☆ キミ・ライコネン
 “魚雷攻撃”を受けたのはベッテルではなく、むしろライコネンの方だ。同士討ちは絶対に避けねばならないこと。でもガマン、自分も1コーナーでラインがはらみ行ってはいけないアウト側に流れた。適切なブレーキングでセンターサイドをとっていればベッテルは斜め後ろに従い、クビアトもインサイドには入りこめなかった。一瞬プレーの奥深さを見た今年の1コーナー・バトル、F1らしい。15周目は22位、そこから5位激走レース、国際TV画面でフォローして欲しかった。


☆☆☆ カルロス・サインツJr.
 大胆に抜くのが上手いフェルスタッペン、慎重かつ巧みな守りを見せるのはサインツ。印象は違うがどちらもそのレベルは高く、甲乙つけがたい二人。それをかみしめているのはジェームス・キーとフランツ・トスト代表だ。


☆☆☆ フェリペ・マッサ
 メルセデスのパワーユニットユーザー・チームは冷却系が今年一新されてレイアウトに悩みがあり、空力デザインを妥協せざるを得ないようだ。ウイリアムズもフォース・インディアの苦戦もそこから派生している。10位スタートから6位、混乱戦をかき分けるのは昔から得意、上位陣ではロズベルグと同じ2ストップ作戦をしっかり遂行。232戦目マッサ、ベテランらしくまとめた。


☆☆☆☆ ダニエル・リカルド
 今年トリプル4位でまたシャンパンファイトなし。昨年は7周トップリーダー、ここで2周またリードできたのは彼自身の力。左リア・タイヤのバーストで18位まで転落、そこからブレーキングの鋭さとアウトラインからの攻めでリカバー。レッドブル・マシン特性を完全に活かしきる走りが、かつての「ベッテル全盛期」よりむしろ際立つ。


☆☆☆☆ ダニール・クビアト
 正直な“口答え”が表彰台セレモニー前にTVで流れた。1コーナーにまっすぐタイヤロックアップもなく、きれいなラインをとって侵入していたのがVTRではっきり分かる。狭いスペースをこじ開けていく彼の天性の才能、それはモンツァや鈴鹿で見ている。リスキーでも行くのがレース・キャラ、ロシアの魚雷は不発を怖れずこれからも発射される――。


☆☆☆☆☆ ニコ・ロズベルグ
 予選Q2をあえてソフトで挑んだ3位1分36秒240はスーパーラップだ。そしてQ3にはスーパーソフトで0.838秒縮めるポールポジション1分35秒402を。ここにいまロズベルグの自信、実力、速さを実感。もう昔の甘ちゃんニコではない、勝負師の顔つきに変わった。37秒リードの大独走、初めて無敵感を味わう歴代3位の“6連勝”はシューマッハ7連勝に迫る記録だ。36点リードは大きい。2位ハミルトンは自力6連勝しないとその差を逆転できない計算になるのだから。



(Text : Jun Imamiya)


レース

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フリー走行2回目 結果 / レポート
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予選 結果 / レポート
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2位ランド・ノリス340
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4位オスカー・ピアストリ268
5位カルロス・サインツ259
6位ジョージ・ラッセル217
7位ルイス・ハミルトン208
8位セルジオ・ペレス152
9位フェルナンド・アロンソ63
10位ニコ・ヒュルケンベルグ35

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3位オラクル・レッドブル・レーシング555
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5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム86
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