マクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回は第2戦バーレーンGPを、ふたつの視点でジャッジ。
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レースは結果がすべてである。それはプロスポーツである以上、結果によって収入が大きく変動することだけが理由ではない。どんなに速く素晴らしいマシンを製作しても、その開発の方向性が正しいと証明するのは、やはりレースで結果を出すことが一番だからである。
昨年、信頼性とパフォーマンスにおいて、厳しい戦いを強いられたホンダ。成績だけでなく、マクラーレンとの信頼関係にも大きな影響を及ぼした。昨年のマクラーレン・ホンダの不振は、何もパワーユニットの性能不足が原因だったわけではない。しかし、ホンダの技術力が向上していなかった以上、ホンダの声がマクラーレンに届くことはない。
したがって、2016年のホンダは、最低でも昨年抱えた問題を克服することだった。
昨年のマクラーレン・ホンダが予選でQ1を突破したのは、4戦目のバーレーンGPだった。それが今シーズンは開幕戦から2台そろって、Q1を突破している。さらに昨年マクラーレン・ホンダが初入賞したのは、6戦目のモナコGPだった。今年は2戦目のバーレーンGPで早くもポイントを獲得した。
ホンダの長谷川祐介総責任者は、「10位で満足してはいけない」と語りつつも、2戦目での今シーズン初入賞を次のように評価した。
「まだまだ上を目指さなければなりませんが、きちんと戦えれば、ポイントを賭けて戦えることがわかったことは、昨年からの大きな進歩です」
つまり、ホンダが今シーズン用に開発してきた昨年末からの方向性に大きな間違いはないことが確認でき、しかもそれを結果としてマクラーレン側にも証明できたことが何よりも価値がある。そして、今後は残された14トークンを、課題とされているパワーアップに使用することができるのである。
もうひとつ、バーレーンGPでのレースでつかんだ手応えがある。それは、ジェンソン・バトンのペースが良かったことだ。バトンは金曜日のフリー走行で3番手のスピードを披露した。土曜日になって、マシンバランスに苦しみ、予選では14位に沈んだが、日曜日のレースではスタート直後から10番手を走行。レース序盤は燃料をセーブし、後半に賭けていた。しかし、パワーユニットのトラブルによって、リタイア。直後を走っていたストフェル・バンドーンが10位、ダニール・クビアトが7位とそろって入賞していたことを考えると、いまのホンダにはバンドーンの10位以上のポテンシャルがあるということである。
バーレーンGPではウイリアムズが8位と9位に終わった。その理由は新しく持ち込んだ新ノーズ&フロントウイングに対するセットアップが十分ではなかったこと。タイヤの使い方に失敗したこと。バルテリ・ボッタスがスタート直後に事故を起こしてペナルティを受けたなど、さまざまな理由があれど、バーレーンGPでホンダはメルセデスを搭載したウイリアムズと互角かそれ以上のペースを披露したのである。
あとは、バーレーンGPのレースでリタイアしたバトンのパワーユニットのトラブルが深刻でないことを願うばかりだ。
(Text : Masahiro Owari)