最新記事
今宮純の決勝インプレッション:「スマート戦略」を貫いたロズベルグ、ダメ押しの最速ラップ
2016年4月4日
ニコ・ロズベルグが2015年からの「3+2連勝」。開幕2レースを制したのは2011年セバスチャン・ベッテル以来5年ぶり、第2戦バーレーンGPの夜もドイツ国歌だけが鳴り響いた。
精密なスタートを本来不利なオフライン側の2番手グリッドから決めたロズベルグ。やや低めのエンジン回転数で蹴り出し、ショートシフトで加速していったように感じられた。開幕戦で出遅れた事実を、彼と彼のエンジニアはしっかり受けとめたのだろう。1コーナーまで300m、誰もついていけなかった。
51回目のポールポジションを得たアタックを「セクシー・ラップ」と自己陶酔していたルイス・ハミルトン。スタートは、まったくセクシーではなかった。それどころか、1コーナーでバルテリ・ボッタスと絡んでスピン、後続が回避してくれて助かった。この第2戦はフェルナンド・アロンソがドクターストップで欠場し、セバスチャン・ベッテルもフォーメーションラップでリタイア。彼らに続いて、またひとりチャンピオンが、いなくなるところだった。このあとジェンソン・バトンは6周で戦線離脱となっている。
2番手に上昇したフェリペ・マッサを、オープニングラップ1.675秒差、1.744秒差、3.163秒差と3周で断ち切ると、ロズベルグは合理的な「スマート戦略」をとった。先頭を行く利点を活かし、スーパーソフトタイヤをケアして13周、2番手まで挽回したキミ・ライコネンが12周目にソフトに交換したのに合わせて自分もソフトを。焦ることなく相手の動きとタイム間隔を見定めた。バーレーンはカナダに次いで燃費が厳しく、タイヤだけでなく燃料を管理し続けないと、終盤セーブに陥る可能性もありうる。セーフティカー導入は過去2度と確率は低いが、それも警戒すべきだ。いろいろ考えつつ、ロズベルグは折り返し地点で15秒差をホールド、フェラーリには、ぐいぐい迫る力はなさそうだと状況を把握していく。
29周目、ライコネンが先にスーパーソフトに換えた。静止時間は、3秒4。すぐにロズベルグが反応して同じスーパーソフトへ。静止時間は5秒3。左リヤに、もたついたが「焦るな」と自分に言い聞かせる。やや間隔は目減りしても、まだ9秒差ある。ここでプッシュしすぎるとライフの短いスーパーソフトを痛めてしまう。なるべく引っ張り、3回目のピットイン後の最終スティント周回数を少なめにしたい。
追いかけるライコネンは、そのぶん性能劣化が進み、37周目に最後のピットへ。タイムは3秒3。この日のフェラーリは今年ピット静止時間の短縮に成功したウイリアムズより遅く、ウイリアムズはマッサの29周目に「2秒2」を記録。首位ロズベルグのペースが1分35秒台から37秒台に変化し、ピットインを決断する時が迫っていた。
ロズベルグは、ライコネンの2周後にピットへ。クルーが走ってソフトタイヤを用意する。スタンバイしていなかった動きから、昔しょっちゅうあったドライバー判断によるピットインだと解釈できた。時間は3秒6。ふたりとも、ややロスしたが、ほぼイーブン。セオリーに則り、最後も同じスペックで合わせたロズベルグに対し、ライコネンいよいよ勝負に。
ここからはドライバーズ・レースだ。アウトラップからセクターごとにタイムを上げたライコネンが39周目に自己ベスト、ハイペースを維持して、差は5秒を切ってきた。するとロズベルグが41周目に1分34秒482の最速ラップで反撃、これは昨年ライコネンのファステストを「1.829秒」も上回る。3ストップ「スマート戦略」最後の仕上げは、この強烈な最速ラップ。4.530秒まで追い上げてきた相手を、序盤同様に10.282秒リードしたまま逃げ切った。もしかしたらライコネンには燃費の制約があったのかもしれない。
大半が3ストップ戦略を実行。昨年は、たった1戦ブラジルGPだけで、ほとんどが1ストップか2ストップだった。タイヤスペック「2択」だったのが新ルールで「3択」となり、選択の幅が広がった。初戦は赤旗中断が起きてイレギュラーな展開となったが、今後はマルチストップが増えるだろう。そのなかで「スマート戦略」を即断実行していく能力、開幕2連勝のロズベルグはスタートからゴールまで貫いた。
(Text : Jun Imamiya)
関連ニュース
5/23(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
5/24(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
予選 | 結果 / レポート | |
5/25(日) | 決勝 | 結果 / レポート |


1位 | オスカー・ピアストリ | 161 |
2位 | ランド・ノリス | 158 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 136 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 99 |
5位 | シャルル・ルクレール | 79 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 63 |
7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 48 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 42 |
9位 | エステバン・オコン | 20 |
10位 | アイザック・ハジャー | 15 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 319 |
2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 147 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 143 |
4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 142 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 54 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 26 |
7位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 22 |
8位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 14 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 7 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 6 |

