FIAはチームとドライバー間の無線通信規制を緩和し、戦略に関する指示の伝達を許可したと英国オートスポーツが報じている。これは開幕戦オーストラリアGPの開始間際に決定され、発行後は直ちに適用されることになるという。この決定は、今シーズン導入された新たなルールが厳しすぎるとの不満の声を受けてのもの。
今季、FIAは競技規則第27.1項にある「ドライバーは自力で、援助なしにマシンを走らせなければならない」との内容を厳しく適用することを選択。FIAのレースディレクターであるチャーリー・ホワイティングは、ピットウォールからドライバーへの無線によるコーチングが「許容できないレベル」に達したことが原因であるとし、厳格な規制がされることになった。
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは「無線にはエンターテインメント性がある」として、FIAのやり方は行き過ぎだと異論を唱えている。チーム側からの聞き取りを終えたFIAは、戦略に関する指示の伝達を許可すると発表した。
オーストラリアGPのレース直前に、ホワイティングからチームに向けて新たな技術指示書が発行された。伝達が許可されるメッセージ内容の19条には「ドライバーとその競争相手のレース中のピットストップ戦略。内容はピットストップのタイミングと、どのタイヤが今後使用される(または使用された)かに限定する。誤解を避けるため、これらの戦略指示にはマシン及びパワーユニットのセットアップは含まれない」と書かれていることを、英国オートスポーツが確認した。
これによって、ドライバーは何のインプットも受けずにただチームの組み立てたプロットに従うだけでなく、レース全体を通してオプションについてチームと話し合うことができるようになった。つまり、昨年のメキシコGPでタイヤの状態は悪くないと感じたルイス・ハミルトンが、チームの(タイヤを交換すべきだとの)決断に疑問を呈したときのような会話が聞かれる可能性が出てきた。
また18条にはフリー走行および予選中に、「ドライバーがピットに入ってきた際にどう行動すべきかを伝えることができる。例としては『ドライブスルー』『ピット前で停止』『ピットストップの練習』『ガレージに入れ』や、これに類似したもの」との文言が追加されている。