2016年のF1開幕戦は、メルセデスのニコ・ロズベルグが優勝。予選ではチームメイトのルイス・ハミルトンに敗れて2位、決勝スタートではフェラーリ勢の先行を許して3番手に落ちたが、赤旗で仕切り直しの機会もあり、逆転優勝を飾った。
ポールポジションからレースに臨んだルイス・ハミルトンは、スタートを大失敗。フェラーリのセバスチャン・ベッテルがトップを奪い、キミ・ライコネンが2番手とワンツー体勢に。1周目はフェラーリ2台にロズベルグ、マックス・フェルスタッペン、フェリペ・マッサと続き、ハミルトンは6番手まで後退してしまった。ハミルトンはマッサを攻略したものの、なかなかフェルスタッペンを抜くことができず、最初のピットストップでミディアムタイヤへ交換。スタート失敗から挽回するため、ここで戦略を変更してきた。
17周目、ハースのエステバン・グティエレスとマクラーレンのフェルナンド・アロンソが接触。後方を走っていたアロンソのマシンは宙を舞い、横転して激しくクラッシュした。しかし幸いアロンソは自力でクルマを降り、グティエレスと無事を確かめあうと、スタンドの観客に手を振って「OK」とアピールする。
この事故によって一時セーフティカーが出勤したものの、すぐに赤旗が出され、レース中断となった。
結果的に、中断前トップに立っていたベッテルに、この赤旗は不利に働いた。ベッテルはスーパーソフトタイヤで再スタートを決断。上位勢ではロズベルグとハミルトンがミディアムタイヤを選び、ベッテルはタイヤ交換のためのマージンをコース上で稼ぎ出さなければならない状況となった。
フェラーリは22周目にキミ・ライコネンが緊急ピットイン。エアボックスから出火して、リタイアとなってしまう。ベッテルは必死にプッシュして、36周目にピットイン。ソフトタイヤに交換したが、やや左フロントに手間取り、なんとか4番手でコースに復帰した。
この時点でトップはロズベルグ、2番手にレッドブルのダニエル・リカルド、3番手にハミルトン。地元リカルドはハミルトンにオーバーテイクを許したあと、ピットに入ってスーパーソフトタイヤに交換。その後はファステストラップを更新しながら、表彰台を狙ったが届かず。4位フィニッシュで大きな歓声を浴びた。
終盤2番手のハミルトンにミスがあり、ベッテルとの差が1秒以内に接近する場面もあったが、その後ベッテルもオーバーランしてしまい、逆転はならず。ロズベルグが開幕戦を制し、ハミルトンが2位でメルセデスのワンツー。3位はベッテルと見慣れた光景になったものの、その内容は大きな変化を感じさせるものだった。
まったくの新チームとして、デビュー戦を迎えたハースはロマン・グロージャンが6位入賞。予選19位からの快挙に、チェッカーを受けたグロージャンは無線で歓喜の声を上げた。
表彰式ではオーストラリア出身の元F1ドライバー、マーク・ウェーバーがインタビュアーとして登場。初日の雨、新予選方式による混乱に揺れたメルボルンは、たくさんのドラマとともに幕を閉じた。