金曜日に雨が降り、フリー走行でニコ・ロズベルグがクラッシュしたときは波乱も予想されたが、予選が終わってみれば、メルセデスがライバルを圧倒。昨年に続いて2年連続でフロントロウを独占した。
土曜日に各チームのホスピタリティハウスで開かれた記者会見では、終わったばかりの新しい予選フォーマットに対して、ドライバーたちの怒りに近いコメントが多く、開幕戦には似つかわしくない雰囲気が漂っていた。それでもメルセデスだけは、和やかなムード。ルイス・ハミルトンのポールポジションタイムは昨年自身が出したタイムを約2.5秒短縮。2011年にセバスチャン・ベッテルが予選Q3で記録した1分23秒529に迫る、スーパーラップだった。
昨年のイタリアGP以来となる、通算50回目のポールポジションを獲得したハミルトンは「マシンのすべてのエリアがグレードアップしていた。チームに感謝したい」とテストから、さらに進化したW07を大絶賛していた。
ただしメルセデスのチーム関係者は、レースに向けて「警戒しなければならないチームがある」と慎重だ。それはフェラーリとフォース・インディアだという。
「フェラーリとのギャップに関しては、よく考えて見る必要がある。なぜなら、彼らはQ3で2回目のアタックをしていない。さらに、その事実は我々がレースに向けて新品スーパーソフトを1セットも残しておらず、逆にフェラーリが1セット残っていることを示す。フォース・インディアは、スタート時のタイヤを自由に選択できる最前列のチームだ」
ハミルトンも記者会見で、フェラーリのロングランでの速さを警戒していた。
「フェラーリは、いつも予選よりレースが速い。予選結果に浮かれることなく、冷静に臨みたい」
実際プレシーズンテスト2回目に行われたフルレースシミュレーション(スペインGPのレース周回数である66周を完全に走りきること)では、メルセデスよりもフェラーリのほうがペースが良かったのである。
メルセデスのスタッフは「レースでメインとなるタイヤはソフト。おそらくミディアムを使うチームは、ないだろう。ピットストップは2回か3回に分かれるのではないか」と分析している。
通常、土曜日の夜は予選の3時間半後となる夜9時半にはバルクフェルメ状態となるため、多くのチームスタッフがサーキットを離れる。だが、今回はドライでの走行データが土曜日しかないため、予選後も長い時間をかけてデータを分析しているチームが少なくなかった。
ちなみに決勝日、メルボルンの天気予報は終日「晴れ」で、降水確率0%。スタート時の気温は21度と予想されている。土曜日の走行データをもとに、どんなピットストップ戦略を立てるか。予選は終わったが、レースに向けた戦いは、スタートが切られる午後4時まで続く。
(Text : Masahiro Owari)