開幕前の合同テストを終えた数チームの関係者に、2016年ニューマシンの手ごたえを聞いた。レッドブルは、ヘッド・オブ・ビークルダイナミクスのピエール・ワシェがRB12について語る。
──今年の新車はチーフテクニカルオフィサーのエイドリアン・ニーウェイではなく、チーフエンジニアリングオフィサーのロブ・マーシャル、ヘッド・オブ・カーエンジニアリングのポール・モナハン、ヘッド・オブ・エアロダイナミクスのダン・ファロウズ、そしてヘッド・オブ・ビークルダイナミクスのあなた、4人で製作したと聞いています。テストを終えた印象は、どうですか。
まずは大きな問題に見舞われることなく、テストを終えることができてホッとしている。マシンのパフォーマンスも全体的に想定したとおりで、昨年同様に良い感触を得ている。
──これまでレッドブルのマシンは空力的に非常に優れているという印象でした。今回は、どのような特徴を持っているのでしょうか。
すべてのエリアに特徴がある。昨年のマシンとコンセプトは同じだが、ディテールすべてを見直し、すべてのパーツが最適化されている。したがって全エリアでパフォーマンスが改善されたマシンになっている。
──RB12のアドバンテージを、ひとつ挙げるとすれば?
フロントサスペンションを見てもらえればわかるように、新しいトライをしている。テストでも良いデータが取れていて、RB12は非常に高いポテンシャルを持ったマシンとして、まだまだ速くなる。
──フロントサスペンションのおもな狙いは、どこにあるのでしょうか。
低速コーナーでのダウンフォースとグリップ力の増加だ。それから、路面の変化に過敏にならないマシンにすることも重要な目標だった。その部分に関しては、大きく改善している自信がある。ただし冬のテストは、グランプリが行われる週末のコンディションと気温も路面温度も違う。これまでの経験から互換性はとれているから大きな心配はしていないが、やっぱり路面の状況というのは実際に走らせてみないとわからないところがあるので、100%安心はできない。
──フロア前端部にユニークな空力パーツが装着されていますが、あれの目的は?
ノーズの下から流れてくる空気の流れをフロアの下へきれいに導くためのパーツだ。もちろんダウンフォースを稼ぐためのアイテムだよ。
──それでは、今シーズンの目標は?
昨年に続いて、厳しいシーズンになることは覚悟している。パワーユニットを含めた我々のマシン全体のパッケージとして、やはり中速から高速域にかけて弱点がある。チャンスがあるのは市街地コースなど、いくつかの低速サーキットとなるだろう。自力で優勝を目指すのは難しいだろうね。良くてウイリアムズと戦うポジションだろうと予想している。