ロータスからハースに移籍して、現場の技術トップとしてチームを取り仕切る小松礼雄チーフレースエンジニアを、バルセロナ合同テストの現場で直撃。日本のF1ファンへ向けて、2016年への意気込みを語っていただきました。「やることが増えただけで、肩書きは同じです(笑)」と言いながらも、その表情からは新しいチャレンジにモチベーションが高まっていることがヒシヒシと伝わってきます。
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──開幕に向けた準備の満足度は、どれくらいですか。
「1回目のテストは結構うまくいったと思います。全部新しいクルマであること、新しいチームであること、クルマを作っていたときの状況を考えると、最初のテストからレースディスタンスを走れたのは大きな進歩でしたね。でも、今週は……。実際には問題だらけですよ。ドタバタしてないように見せるのが大変。ウチの問題もあるけどウチの問題じゃない場合もあるし、あまり、くわしくは言えないんだけど……」
「やりがいは、ありますよ。大変だし、眠いけど。徹夜はなかったけど睡眠1時間半っていうのはあったし、テストの前のクルマのビルドアップのときから、あんまり寝てないから疲れきってるんです(笑)。でも新しいチームだから、すべてを白紙から作っているわけで、やる気に満ちていますね」
──新チームというのが失礼なくらい最初からビシッとしていますね。
「そうだと思いますよ。すごく良いなと思うのは、チームオーナーのジーン・ハースが、すごくモーターレーシングが好きな人なんですよ。ガレージに来ても、とにかくいろんな人と話しているし、技術的なことが、すごく好き。僕が前にいたチームのオーナーは金もうけしたいとかカッコつけたいとか中身のない人たちだったけど、ハースはオーナーがそういう人だからチームの雰囲気もすごく良いんです」
──現状では、どのチームがライバルになりそうですか。
「うーん、そういうのは、まだ言いたくない(笑)。まずはレースを完走しないといけないですから。シーズン中にクルマを開発していく予算もあるけど、まずは信頼性の高い状態で走らせることが大切だと僕は思うし、それさえできれば、なんとかなると思っています。もちろんレースだから全員に勝ちたいですけどね」
──日本のファンに「ここを見てほしい」というところは?
「新しいチームでも、頑張れば結果が出せるんだよっていうことを証明したいと思ってるんで、そんなレースができるように頑張っています。そういうところを見ててくれるといいかなと思います」
(米家 峰起/Text : Mineoki Yoneya)