F1上層部は2017年に5〜6秒ラップタイムが速いマシンを走らせるため、規則変更案を検討してきたが、ピレリの分析によって、これまでのプランが大幅に見直される可能性が出てきたとBBCが伝えた。
ファンにとってより魅力的なF1を作り出すため、FIAは2017年に向けて今より圧倒的に速いマシンを走らせるというテーマを定めた。昨年FIAはチームに対し、それを実現する提案を募集、チーム側は協議を重ねてきた。
BBCによると、昨年11月末の段階で以下の項目においてFIAとチームが合意していたという。
・ホイールの左右の間隔を1800mmから2000mmに広げる
・よりワイドなタイヤを装着
・フロントおよびリヤウイングの形状およびサイズを変更
・ボディワークの幅を広げ、アンダーフロアのデザインを変更することで空力ダウンフォースを増やす
これらの変更によってダウンフォースは25〜60パーセント増えるものと推測されている。しかしピレリはチーム側に対し、2017年に予定されているサイズのタイヤでは、内圧を大幅に高めない限り10〜15パーセント以上のダウンフォース増大には対処できないと訴えたという。内圧を大幅に高めるとグリップが低下し、マシンパフォーマンス向上の妨げになる。またタイヤグリップが低下すると、ラップタイム向上を空力に頼らざるを得なくなり、オーバーテイクが今よりさらにしづらくなるとエンジニアやFIAが懸念している。
ピレリの発言を受け、ダウンフォースを増やすための新規則パッケージのふたつの主要な項目、つまりアンダーフロアのデザイン変更とよりワイドなボディワークの導入を断念(タイヤの左右の間隔を広げ、フロントおよびリヤウイングのサイズと形状を変更し、タイヤの幅を広げるといった項目は残す)した場合、どういった影響があるのかを調査するよう、FIAはチームに指示したという。修正案で行けばラップタイムの向上は3秒程度にとどまるものと予想されている。
FIAらは新たな規則案を2016年シーズンスタート前に定めることを目標にしているという。
ピレリは、問題に対処するのが難しい理由のひとつとして、現在の規則でテストが十分できないことを挙げている。