豪華メンバーが集う、もうひとつのスパ/ドイツ特派員レポート
2015年9月2日
各国の特派員が現地ならではの話題をレポート。今回はドイツ在住の池ノ内みどり氏が、もうひとつのスパ・フランコルシャン、とあるOBドライバーが語ってくれた現在のF1、ドイツGP復活への企業努力、そしてレースファンに優しすぎるショッピングセンターまで、最近のトピックスを紹介します。
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スパ・フランコルシャン・サーキットへ取材に行ってきました。でも、目的はF1ベルギーではありません。ル・マン24時間レースの始まった翌1924年に初開催、伝統あるスパ24時間レースです。プロトタイプからGTまでが混走するル・マンとは違い、生粋のGTバトルとして定着、なんと観客数はF1を上回るほどなんです。
スパは私も大好きなサーキットのひとつ。初めて行く場所ではチームや10ドライバーに自転車を借りて1周することにしていて、スパは数年前に1度だけチャレンジしました。軽い気持ちで走り出したものの、かなり過酷で、あまりのアップダウンのキツさにギブアップ寸前。なんとか意地でゴールしました。ちなみにニュルブルクリンクの旧コースは絶対に無理です!
余談はさておき、スパ24時間レースには様々なカテゴリーから実力派ドライバーが参戦しています。アウディからはル・マン王者のアンドレ・ロッテラー、マルセル・ファスラー、ステファン・オルテリ、DTM王者のマイク・ロッケンフェラーやニコ・ミュラー。BMWからはDTMワークスドライバーのマキシム・マルタン、アウグスト・ファーフス。メルセデスDTMワークスのダニエル・ジュンカデラなど、各メーカーのトップが勢ぞろい。
元F1ドライバーも多く、アレックス・ザナルディはティモ・グロックとDTMワークスのブルーノ・シュペングラーと組んでBMW Z4 GT3で参戦。3人のイラストが描かれたZ4は、ある意味“痛車”テイスト!?
そして短いF1キャリアのあと、マクラーレンGTワークス入りしたブルーノ・セナ。
この人は誰か、わかりますか? チャリティで参戦した地元ベルギー出身のエリック・バン・デ・ポールさんです。
これだけの名手たちが全員BoP(バランス・オブ・パフォーマンス)で性能調整された、ほぼ同じ条件のGT3マシンで戦うのですから面白くないはずがありません! あの急高配を上るときに、ものすごい縦Gがかかるというオールージュ、GT3マシンはダウンフォースが少ないので、速く走るためにはラインどりに頭を使い、スリップストリームを駆使する必要があり、快心の走りを見るのは、まさに爽快です。
さて少し前の話ですが、カール・ベンドリンガーに『Racing on』の取材でインタビューしたとき、コーヒーを飲みながら現在のF1についての話題も大いに盛り上がりました。マクラーレン・ホンダの不振には相当驚いていました。実車でテストができなくてもシミュレーションができるご時世に、資金が不足しているわけでもないのに、なかなかまともに走れない状態は理解不能のようです。ちなみに写真は2010年にスパ24時間に参戦したときのベンドリンガーさん。
今年のドイツGPが中止という大スキャンダルの遠因となった観客数の減少について、ベンドリンガーは「決してレースが面白くなくなったわけではない」と断言。「チケットの価格が高すぎる」とのご意見でした。
「たとえばレースウイークに妻と息子を連れて、そこそこの席のチケットを3枚買い、サーキットで食事して、お土産を買って、さらに宿泊費や交通費を考えると……だったらパックツアーでバカンスへ行くほうが安上がりだよね」と現実的な計算を。
来年はホッケンハイムでドイツGP復活が決定しました! ホッケンハイムは独自に来年のチケットの予約を開始。今年の9月30日までに予約すると、大人用チケットは99ユーロ(約1万3000円)から。6歳以下は無料、場所は限られますが16歳以下は50ユーロ(約6700円)という太っ腹な価格を打ち出してきました。
ちなみに、かつてはメルセデスの育成ドライバーとしてミハエル・シューマッハーやハインツ-ハラルド・フレンツェンと“三羽がらす”の異名をとったベンドリンガーさん。今季はメルセデスF1のリザーブドライバーを務めるパスカル・ウェーレインに注目。「いま一番F1に近いドライバーだろう」と期待を寄せています。
最後に、近所のショッピングセンターで開催されていたメルセデス・モータースポーツ特別展をご紹介。夏休みの子供たちより、お父さんたちが夢中になっている姿をよく目撃しました。BMWの本拠地も近く、DTMマシンの展示やドライバーのトークショーも行われているので、社長さんがレースファンなのかもしれません。
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池ノ内みどり(Midori Ikenouchi)
ドイツ・ミュンヘン在住。ヨーロッパでの生活は現在19年目。ドイツのレーシングチームで研修を受けたあと、ニュルブルクリンク24時間プロジェクトチームのコーディネーターなどを経て、モータースポーツ関連ライターとコーディネート業を行う。
※ラスベガスGP終了時点
1位 | マックス・フェルスタッペン | 403 |
2位 | ランド・ノリス | 340 |
3位 | シャルル・ルクレール | 319 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 268 |
5位 | カルロス・サインツ | 259 |
6位 | ジョージ・ラッセル | 217 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 208 |
8位 | セルジオ・ペレス | 152 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 63 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 35 |
※ラスベガスGP終了時点
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 608 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 584 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 555 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 425 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 86 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 50 |
7位 | BWTアルピーヌF1チーム | 49 |
8位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 46 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 17 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
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