マクラーレンは29日、2015年シーズンを戦うF1マシン『マクラーレン・ホンダMP4-30』を正式に発表した。
アイルトン・セナらを擁し、1980年代後半から90年代前半にかけF1界を席巻した伝説の最強チーム、“マクラーレン・ホンダ”。その最速の遺伝子を受け継ぐ新生マクラーレン・ホンダの2015年型マシン『MP4-30』がついにそのベールを脱いだ。
今年から日本の自動車メーカーであるホンダとワークス契約を結んだマクラーレンは、これまで数々の最強エンジンを生み出してきたホンダ開発の新しいパワーユニットを搭載。早期の常勝復活を誓うチームは、現役最高のドライバーと称されるフェルナンド・アロンソをフェラーリから復帰させ、第3期のホンダF1で勝利を挙げたジェンソン・バトンとのチャンピオンコンビを実現、勝利への条件をすべて整えた。
この日、公開されたニューマシンは、テクニカルディレクターのティム・ゴスが「理にかなった」デザインと語っていたとおり、ロータス同様に昨年の醜い突起を排したスタンダードなノーズを採用。モノコック前端から真っ直ぐに垂れ下がるスラントノーズとなった。
また、注目のカラーリングは、長年チームのアイデンティティとなっていたシルバーを継承し、赤のラインを走らせた2012年までのカラーリングがベースとなっている。一方、昨年から不在の状態が続いていたメインスポンサーは今回のマシンでも見られないが、サイドポンツーン周辺は黒塗りで覆われているなど、今後何らかのカラーリングが施されるようにも見える。
チームは、昨年末の合同テストでホンダのパワーユニットを搭載した先行開発車両を初めて走らせたものの、電気系をはじめとする数々のトラブルでわずか5周しか走ることができず、タイムを計測することはできなかった。
また、今年に入ってからは、シーズン中のパワーユニットの改良が認められることになったが、新規参入のホンダにはそれが適用されない事態にも陥った。彼らは、FIAとの交渉でなんとか他の3メーカーの“平均値”内で開発を許されることになったが、昨年ライバルを圧倒したメルセデスや、すでに1年の経験があるフェラーリやルノーといった既存メーカーと比べれば、信頼性の面で絶対的な経験値が足りないのも事実だ。
しかし、過去2年、勝利から遠ざかっているマクラーレンは、レッドブルの4年連続王座を支えた空力スペシャリストを獲得するなど技術部門を強化、ホンダF1の総責任者を務める新井康久氏も今月はじめに「全部対策はできた」とのコメントを発表している。
1992年以来となる“マクラーレン・ホンダ”の復活。その戦いには、日本のみならず、世界中のファンが熱い視線を注いでいる。まずは、2月1日から始まるヘレステストの走りに注目が集まる。