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【無線】ウイリアムズのチームオーダー交信を再現

2014年4月1日

XPB

「Valtteri is faster than you【バルテリ(ボッタス)は君より速い】」

 レース終盤、ウイリアムズのフェリペ・マッサに対するその無線音声が流れた時、メディアセンターは爆笑に包まれた。皮肉なことに、それは2010年のホッケンハイムでフェラーリにチームオーダー騒動が起きた時と全く同じ言葉だったからだ。

「フェリペ、バルテリは君より速い。彼を前に行かせてくれ、抑え込むな」

 51周目にマッサがレースエンジニアのアンドリュー・マードックにそう指示されたのと同時に、ボッタスにも「バルテリ、君の方が速いからフェリペをオーバーテイクしろ」という無線が飛んでいた。しかしマッサは頑として譲らず、突然降って沸いたチームオーダー問題にメディアセンターは騒然となった。

「特に言うことなんてないよ。僕は最後まで戦っていたし、ジェンソン(バトン)と差を縮めるチャンスを逃したくなかった。ただそれだけのことだよ。僕はずっとそうしてきたし、それが正しいと信じている」(マッサ)

 レース直後に興奮していたのはむしろマッサの方だった。ボッタスはマッサの行動に不服な様子ではあったが、「何が起きたのかについてはチーム内で話し合いたい」と大人の対応を見せた。

そもそも伏線はレース序盤にあった。6周目の段階でボッタスはレースエンジニアのジョナサン・エドルスと次のようなやりとりをしていた。

「フェリペ(マッサ)に仕掛けるな。彼が(ケビン)マグヌッセンを抜き去るまで待つんだ」
「僕の方がペースが速いのに!」

 ボッタスはレース序盤から「前に行かせてほしい」というもどかしい思いを持ちながらレースを戦っていたのだ。なお、テレビ中継ではその直前に「アイツが何をやったか見たか!?」と激高するマッサの無線音声も流れていたが、これはボッタスが仕掛けたことに対するものではなく、オープニングラップにマグヌッセンが幅寄せしたことに対するものだとしている。


 マグヌッセンはキミ・ライコネンとの接触で自滅したものの、マッサは最後のピットストップを終えてバトンを射程圏内に捉えてからも抜きあぐねた。45周目にはメインストレートからターン1でサイド・バイ・サイドまで持ち込む場面もあったが、結局抜ききれなかった。

「マクラーレンは最終コーナーの立ち上がりのトラクションがすごく良かったんだ。僕らは最高速が速いけど、逆にトラクションは良くないから立ち上がりで大きく離されてしまって、ストレートエンドまでに追いつくことができなかった。バルテリが前に行っても同じことだったはずだ、結果は同じだよ」(マッサ)

 それがマッサが自分が正しいことをしたと信じる理由だ。

 しかしボッタスはマッサよりもタイヤ交換のシークエンスが2周遅かった。つまり、最終スティントで2周若いタイヤを履いたボッタスの方がマクラーレンを抜くチャンスは大きく、“レース終盤寄り”のボッタスを優先させるというのがチームとしての戦略でもあった。

「僕は最初のピットストップを少し遅らせたから、僕のタイヤはフェリペやジェンソンよりも良い状態にあったんだ。だから前の2台よりも少し速いペースで走れていたように感じていたし、ジェンソンに対して仕掛けてチームのためにもう数ポイント多く獲得するチャンスはあったと思うよ」(ボッタス)

 チームとしてはボッタスによるバトン攻略がならなかった場合には、最後に再びマッサに順位を戻す計画もあったという。しかしマッサがボッタスを先行させないのを見て、最後の2周は不必要なリスクを冒さないためにポジション維持の指示を出した。

「そう、最後の2周はもうオーバーテイクすることは許されていなかったんだ」(ボッタス)
 マッサの主張が正しいのか、ボッタスが正しいのか。データ分析の結果どちらの答えが出ようとも、それは結果論でしかなく、チームオーダーが守られなかった事実に変わりはない。

 レース後のデブリーフィングを終えてもなお、2人の主張は平行線のままだった。もうすっかり暗くなったパドックで時間を前後してメディア取材に応じすれ違った2人の視線もまた、決して交わることはなかった。

 今後に遺恨を残すことになるのは避けられないだろう。


(F1速報)


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