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現地発:前に進めない可夢偉「信じるしかない」

2014年2月28日

Caterham

 この日も小林可夢偉は、コース上を走っている時間よりもガレージで待っている時間の方が長かった。最終テストのこの4日間でやり残した“95%”をできるだけ多くやり切りたい。そのためにインターバルの間も連日サーキットでミーティングに明け暮れ、テストプログラムを練り上げていた。

 それなのにトラブルが次々とマシンを襲い、ガレージで待つ可夢偉の表情も一段と険しく見えた。
「朝の走り始めは普通に7周走れたんですけど、(ギアボックスの)センサーにエラーが出ていきなりギアがニュートラルになって、ストップです。全開からいきなり止まったから、それで燃えてちょっと煙が出て……」

Sutton

 この時点ではまだ可夢偉はエンジニアとブレーキングのフィーリングを伝え改善策を協議するなど、当初の予定通りにプログラムをこなしていくつもりだった。しかしガレージにレッカーされたマシンはリヤエンドが取り外され、パワーユニットの補器類も外されて、結局コース復帰までに4時間をロスすることとなってしまった。

 昼休み明けの午後1時半にコースへと走り出した可夢偉だったが、それもわずか2周の計測ラップを走ったところで予定よりも早くピットイン。そこからはピット出口でストールしたり、ピットアウトしてはすぐにピットインというのを繰り返すばかりで、本格的なテスト走行はできなかった。

Sutton

「午後はず〜っとパワーユニットのシステムのトラブルで、僕らにはどうしようもなくて。システムに問題が出て、それが直ったら走るんやけどまた問題が出て、直して走ってもまた一向に直らなくて、っていうことの繰り返し。僕らだけじゃなくて他のルノーユーザーも同じようなトラブルが出てたらしいけど」


 先週のテストでようやく進むべき方向性が見えてきたはずだったが、その方向に進んでいくことはほとんどできなかった。
「マシンの挙動がダメな理由は分かってるんやけど、システムが壊れてそれをテストできてないっていう状態なんです。先週のブレーキ挙動の問題はちょっとはマシになったけど、やることはまだいっぱいある。まずはとにかくパワーユニットをちゃんと使えるようにする方が先やからっていうて、セッティングも全くいじれてないし、マシンバランス自体が悪いままで走ってるから」

 開幕前最後のテストだというのに、この有様。周囲から見れば、これだけテストの妨げになっているルノーのパワーユニットに対して怒りさえ込み上げてくるような状況だ。それでも可夢偉は怒りをぶちまけるのではなく、冷静に、言葉を選びながら今の心境を答えた。

Sutton

 先週の「僕たちはGP2より遅い」といった趣旨の冗談めかした発言が海外メディアで報じられ、それが決してポジティブな結果を生まないことも考慮してのことだ。自分の気持ちを吐露して溜飲を下げるよりも、今ケータハムに本当に必要とされているものの方を取る。それもまた今年の可夢偉の成長と言えるのかもしれない。

「まぁチームのみんなが一生懸命やってくれてるんで、信じるしかないですね。そのためにテストをしてるんやしね。苛立ってもしょうがないし、ストレスをためてもしょうがない。僕はメカニックでもなければエンジニアでもないから、僕にはクルマをドライブして感じたことをフィードバックするしかできないからね。(それをやったら)あとはチームのみんなを信じるしかないでしょ?」

 そつなくそう言った可夢偉の表情は、それが本心でないことを物語っていた。しかし、チームの士気を高めることもまたチームリーダーの仕事だ。チェッカーまで30分以上を残してこの日の走行を切り上げなければならなくなった後、コクピットを降りた可夢偉はガレージの外に出てきてピット出口でスタート練習をするマシンのホイールスピンを見て「なんだあれ、ひっでぇ〜!」とオーバーにアクションしてチームスタッフを和ませてみせた。それがケータハムのクルーたちにとって、どれだけ心の助けになったことだろう。

 今日はそれ以上は言わないでおく。そう言って本心をぐっと胸の奥に飲み込んだ可夢偉とケータハムの、残り3日間の幸運と発奮を祈りたい。

Sutton


(米家峰起)




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