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現地発:大器の予感マグヌッセン

2014年2月21日

LAT

 太陽が傾きピットレーンに吹き付ける風が随分冷たく感じられるようになった午後4時15分、ピットガレージから姿を現わしたケビン・マグヌッセンのマシンには真っ赤なロゴの刻印があるスーパーソフトタイヤが装着されていた。それが意味するのは、タイムアタックをせよということだ。

 午前中にテレメトリーのトラブルで走行時間を失ったマクラーレンだったが、残り少ない時間の中でマグヌッセンは自らに課せられた使命を忠実に果たし、2位以下に1秒以上の大差を付ける最速タイムを叩き出した。
「ニュータイヤでのマシンのフィーリングは良かった。ドライビングをとても楽しんだよ。午前中はテレメトリーのトラブルで走ることができなかったけど、午後の限られた時間の中でも良いプログラムをこなすことができたと思うよ」

Sutton

 すっかり日の暮れたパドックで、テレビカメラのライトに照らされたマグヌッセンの顔はベテランのような落ち着きに満ちていた。受け答えも、とても新人とは思えないほど自信に満ちた言葉で自分の意見を述べる。
 前回のヘレスでもこのバーレーンでも最速タイムを記録したが、それに浮かれるような様子もない。
「ラップタイムに関しては何も考えていなかった。とにかく僕は自分の全力を尽くし、できるだけ多くの周回数を走ってできるだけ理解を深めることだけに専念してやってきたんだ。その点では良い仕事ができたと思っているけどね」


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 名門マクラーレンが送り出すエリート新人ということで、タイプこそ違えどルイス・ハミルトンと重ね合わせて彼のような華々しいF1デビューを期待する向きもあり、メディアの注目度も高い。大人びた顔つきと北欧人特有の透き通るような肌と金髪が、サラブレッドという印象をさらに強くさせる。
 そして本人も、さらりと自信を覗かせる。
「自分たちがどのあたりのポジションにいるか興味はあるし知りたいけど、それを判断するのはまだ難しいと思う。誰にも分からない。でも現時点では自分たちが良いポジションにいるとは思うし、そんなに悪くはないと思うよ。僕自身はレースで何をすべきかという手順も一通り分かっているし、レースを戦う準備はできていると確信している」

 ルーキーらしくない落ち着いた表情で答えるマグヌッセンには、大器の予感が漂っている。
 しかし、やはりまだ21歳の若者なのだという面もある。
「とにかく今はF1の世界にいることを楽しんでいるんだ。僕にとってこれはすごいことだし、本当に素晴らしい。夢を見ているようだよ(笑)。毎朝起きてサーキットへ行く、それが夢のような気分なんだ。事実、自分の夢が叶ったわけだしね。でも、それにも慣れて自分の仕事に100%集中しなきゃね」

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 落ち着いて悠然と質問に答えているようでいても、その手元はせわしなく自分の携帯電話をもてあそんでみたりキャップに触れてみたりと、落ち着かない心の内面を映し出していた。大人びて見えても、大きな注目を集めるF1の世界に慣れきってはいない若者の一面がそこにはあった。

 10分ほどのメディア対応をそつなくこなし、マグヌッセンが後にしたテーブルの上にはiPhoneがひとつ残されていて、スタッフの女性が「誰か忘れているわよ」と声をかけるが、持ち主は見つからない。
 そう、それこそさっきまでマグヌッセンがせわしなく手元で動かしていた彼の携帯電話だったのだ。やはり、21歳の若者が飛び込んだばかりのF1の世界で全てを悟ったように行動などできるはずがない。彼も内心はドキドキなのだ。

 しかし彼が素晴らしい走りで最速タイムを記録し、チームから高い評価を得ていることに変わりはない。大器の片鱗と、いかにもルーキーという一面。その両方が共存している今のマグヌッセンがこれからどう成長するか、楽しみにしてもらいたい。

(米家峰起)


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