元F1チーム代表のジャンカルロ・ミナルディは、F1が先週モナコでのFIAとFOTAの話し合いで決定したコスト削減策を受け入れなければ、ビッグネームがいなくなるかもしれないと警告した。
ミナルディは、2週間前のホンダの衝撃的な撤退に続いて、さらに多くのマニュファクチャラーが撤退するかもしれない状況を、1990年代の世界ラリー選手権になぞらえた。そして、F1が急激に縮小して、最もよく見られているモータースポーツの座から転落し、かつての繁栄の幻影となってしまうのを防ぐためには、責任者たちが話し合った抜本的なコスト削減策を実現する必要があると語った。
「私は、話し合いで何度も、F1を大きなマニュファクチャラーの手にゆだねることの危険性を強調した。確かに、その面はとても美しく、面白くなりうるものだとしてもだ」とミナルディは、F1の現状についての所見の中で書いている。
「90年代にラリーが経験したのと同じシナリオを繰り返す危険があった。参加者が少なく、重要なパイロットも少ししかいなかった時代だ。ホンダのような役員会の決定が、F1よりも自らの予算の方に興味がある他の自動車会社の決定に影響しないことを望む。彼らは多くの決定をしなくてはならず、必ずしも同じ優先順位を持っていないし、F1に惹きつけられているとは限らない」
ミナルディは20年間にわたって、苦労しながらF1の夢を追い続け、やがてポール・ストッダートがチームを引き継ぎ、マニュファクチャラーたちの力に対抗しようとする最後の努力を行った。ミナルディは、ホンダがブラックレーのチームを買収する相手に援助を提供しようとしているのは喜ばしいことだと語った。同チームは、従業員とチームの将来を保証してもらえれば、という条件で、わずか1ドルで売りに出されている。しかし、ミナルディは、現在の経済危機を乗り越えた者たちは、自らの支出について気をつけねばならないと強調した。
「ホンダは、誰かが現れてチームを救ってくれるなら、大きな犠牲を払おうとしているが、世界選手権(に参戦しないこと)で節約できる金額は4億2千万ドルに上るそうだ。最近は、世界選手権でFOTAがコスト削減を目指す文書を提出しているし、段階を追って進んでいくことが重要になるだろう。1994年以来、安全面に関して努力が行われてきて、満足できるレベルに達することができたのと同じように」
「(各チームは協力して)働かなくてはならない。マニュファクチャラーとプライベートチームの双方が参戦できるような予算を実現しようとしている人たちが何百人もいるわけではないのだから。10年前は18チームあったが、現在はたったの9チームだ。それは、他の者たちが次々に(生き残ることが)難しいと知っていったからだ。そして助けを求めても、聞き入れられなかったからだ」
「当時も問題は存在したが、それは認識されなかった。マニュファクチャラーたちが、自分たちの意見を言っていたからだ。現在、“フリーの”チーム──ウイリアムズ、トロロッソ、レッドブル、フォース・インディアは、それほど危険にさらされてはいない。背後にオーナーがいるからだ。しかし、彼らには他の利益や問題がある。もし私たちが苦しみ叫ぶ者の声に耳を傾けていたら、こうなってはいなかっただろう。この大規模な、世界を巻き込む経済危機があったとしてもだ」