単一エンジン構想を推し進めるFIA会長マックス・モズレーだが、エンジン開発凍結のポリシーは今後のF1においても継続されていくだろうとの考えを示した。
ホンダのF1撤退発表と同じ日に、ワンメイクエンジンのサプライヤーとしての入札をコスワースが勝ち取ったことが明らかにされたが、モズレーは、コスワースがエンジン供給を独占的に行うとは考えていない。
マニュファクチャラー撤退という事態を危惧して単一エンジンというアイデアを推し進めてきたのかという問いに対し、モズレーは以下のように答えている。
「もちろん、単一エンジンを計画したものというよりは、単一レベルのパフォーマンスと格段に安いエンジンを計画したものだ」とモズレーは、F1公式ウェブサイトに語っている。
「さらにマニュファクチャラーが減れば、このプランの必要性はますます高まるだろう。ホンダの撤退は驚きだった。彼らは発表の4日前に我々に内々で知らせてくれた。だが私は彼らの撤退を全く予測していなかったわけではない」
マニュファクチャラー側はスタンダードエンジンに反発しており、代替プランとして、マニュファクチャラーが低価格エンジンをカスタマーチームに提供し、マニュファクチャラーはコスワースの提案するものと同一スペックで自らのエンジンを製造することができるという案が出ている。
「これに関してはまだ議論の最中だが、インディペンデントチームが低価格で供給を受けられるような形での規定を定めた、エンジン凍結に落ち着くだろうと考えている」とモズレーは認めた。
「我々は少なくとも一社は外部の独立エンジンサプライヤーを起用するべきだと考える。もうひとつか、あるいはふたつ、マニュファクチャラーが撤退した場合に備えてね」
彼は、カスタマーカーの使用には反対ではないとし、また、KERSシステムの2009年導入の正当性を主張している。
「KERSシステムは、もし装着されれば、1周あたり6秒まで80hpのパワーアップが期待でき、オーバーテイクの機会が大幅に広がる」
「KERSの目的は、一般車と社会全般に関連する分野におけるリサーチにF1を従事させることだ。KERSに関しては、実際の世界に無関係なF1独自の空力とギヤボックスに費やしてきた予算よりもずっと少ない金額しかチームは使っていない。しかしKERSは強制ではなく、チーム同士が共通KERSのために協力して働く可能性は常に存在してきた」
「個人的には、カスタマーカーについては問題はない。それがなければ、1970年代にF1は繁栄しなかっただろう。現在の問題は、競争力のあるチームを十分にそろえ、チームがマシンをどこで確保するのか心配せずに済むようにすることだ」