セバスチャン・ベッテルは、F1で“いつか世界チャンピオンになるだけの才能を持って生まれてきた”。ドイツの新星をこう評価したのは、他でもない前人未到の7度の世界タイトル獲得という記録を打ち立てたミハエル・シューマッハーだ。
今年9月、ベッテルはモンツァで開かれたイタリアGPでトロロッソを歴史的勝利に導き、21歳と74日でF1史上最年少ウイナーとなった。来季はレッドブル・レーシングへの移籍が決まっている彼は、これまでシューマッハーと自分とではまだ比較にもならないと公言してきた。
だが、先週末のレース・オブ・チャンピオンズでドイツのネイションズ・カップ防衛のために彼と共に戦ったシューマッハーは、いつか母国の若き後輩が自分と同じ道を歩き、究極の栄冠を手に入れるだろうと語った。
「彼の活躍を見るのは本当に楽しい」と、F1通算91勝を挙げたシューマッハーは、イタリアのラ・ガゼッタ・デロ・スポルト紙のインタビューに対して述べた。
「彼には彼にしかない個性があるし、チームが彼の成長を手伝ってやりさえすれば、いずれ結果はついてくるだろう。彼はいつか世界チャンピオンになるだけの才能を持って生まれてきた。それはすでに今年の活躍によって証明済みだ」
また、シューマッハーは2009年から導入されるF1の新しいコスト削減を目指したレギュレーションや、バーニー・エクレストンが熱心に主張し続けているオリンピック風の金、銀、銅のメダルシステムについても意見を述べた。
「(今のシステムは)僕の時代に、僕の連勝を止めるために変更されたシステムだった。それを今度は、誰かが早々とチャンピオンを決められるように変えたいようだね……」
「ただ、コストを削減する必要性については同意するよ。いずれやらなけばならないことをFIAがやっただけだ。レースの世界も世界経済で起きていることを無視できないのは明らかだよ。今は正しい方向へ進むことがとても重要で、FIAとFOTAはそれを正しい方法でやろうとしていると僕は思う」
「それによってレースがよりエキサイティングになる可能性もあるだろう。ただ、トップチームは依然としてトップチームであり続けるはずだ。彼らは最高の人材と組織を持っているからね。いくつかのチームが相対的なポジションを上げてくるかもしれないが、単にレギュレーションが新しくなったというだけで、これまでの序列が大きく覆るとは考えにくい」
「僕は空力の専門家でもなければ、デザイナーでも技術者でもない。しかし、基本的なポイントは、空力の重要性を減らして、メカニカルな部分の重要性を増すことだ。新しいクルマはもっと互いに接近して走れるようなものになるはずだし、それだけでもレースを見応えのあるものにするには十分かもしれないよ」