先週スペインで行われた合同テストで、フェリペ・マッサは、2008年の世界タイトルをルイス・ハミルトンに奪われた最終戦以来初めてF1マシンをドライブした。テストを終えたマッサは、久しぶりのF1ドライブを楽しんだことは認めたものの、ヘレスでのテストで接したマシンのルックスとパフォーマンスに関しては、いまひとつ満足はしていないようだ。
10日にマシンに戻り、心と身体をリラックスさせたオフの間に着いたサビを落とした後、合同テスト3日目であり最終日の翌日、フェラーリのチームメイト、キミ・ライコネンと共に、マッサは2009年より再び導入されるブリヂストンのスリックタイヤに合わせた最適なセッティングを模索した。
テスト最終日、マッサと報道陣の間の話題の中心は、タイヤの変更についてだった。一方、マッサが忘れようとしているインテルラゴスでの悲劇についても、メディアはまだ興味を示していた。
「あのレース、特に終盤のラップのイメージをずっと引きずっていた。ほんの数秒で天国から地獄へ落とされたんだから、家族や友人たちも辛かっただろうと思う」とマッサは認めている。
「僕はマシンに乗ってドライビングに集中していた。そして、雨が降ったから、どんなことも起こりうるだろうと分かっていた」
「でも(オフの間には)そのことはあまり考えなかった。過去を振り返るのは好きじゃないんだ。それよりも、自分に起きた事から学んで、前向きに考える方が好きだ。僕らは最善を尽くして、そしてレースに勝利した。負けたけれどほんの1ポイントの差なら、後悔するようなことはほとんど何もない。他にもやり方はいろいろあって、違う方法を取っていれば、より良い結果になったかもしれないし、違う結末になったかもしれないけどね」
最終戦後のオフは、マッサの落胆した気持ちを癒すのによい時間となったかもしれないが、他のF1ドライバー同様、彼もまた、すぐにコクピットに戻りたい衝動に駆られることになった。
「トラックに戻れて嬉しいよ」そうマッサは語っている。
「休暇は楽しく過ごしたよ。でもしばらくすると、そわそわしてくるんだ。そして新しいタイヤで車がどうなるのか、知りたくてしょうがなかった」
「(新しいタイヤでは)全く違う感触だった。特にユーズドタイヤで走る時はね。ドライブする感覚が全く違うんだ。僕らはみな、ドライビングスタイルを変えなければならなくなるだろうと思うね」
「特にオーバーステアで、ダウンフォースが低い状態のハンドリングはすごく難しい。でも今回テストした車は暫定的なマシンだから、完全な形でセットアップを詰めたわけではない。来年のマシンになれば、状況は全然違うものになるだろうし、スリックで走るのが楽しくなるだろうと思うよ」
ヘレスでマッサが注目したのは、その暫定マシンでのハンドリングだけではない。2009年仕様のマシンの初期スタイリングについては彼以外のライバルもすでに触れているが、彼はこれを何とか受け入れようとしている。
「車が醜くなるかって? そうだな、それは間違いないだろうね」とマッサは苦笑した。
「まるで10年前に逆行しているように思えるね。でも、結局は美しさは重要ではないからね。そうだろ?」