フェラーリの会長であるルカ・ディ・モンテゼモロは、“90年代と同等の経済水準”に基づいた“2012年の新しいF1”について熱心に語った。だが、彼は、昨日モナコで行われたFIAとFOTAのミーティングでの内容や、決定事項に関しての詳細は、言明を避けた。
年々高騰していくコスト、そして先週金曜日のホンダの衝撃的な撤退発表を受け、FIAとフォーミュラワン・チームズ・アソシエーションはモナコで会合を設け、この危機と戦いながらどうやってF1の将来を見据えていくか、議論を交わした。
モズレーは、先日のミーティング終了後、「これまでF1の関係者によって行なわれたミーティングの中でももっとも成功を収めたものである」と語り、両者間で最終的に取り決められた内容に関しては、「その結果を大いに喜んでいる」と表現しているものの、それ以上のコメントはなく、2010年以降のシリーズにおけるエンジンの規定に関しては、いまだ不透明なままである。
FIA会長、マックス・モズレーは、低コストのコスワースエンジンを標準化させるという規定の導入を推し進めていたが、FOTA側はターボ搭載の1.8リッターエンジンを採用するものの、単一エンジンとしないでコスト削減を図る代替案を提案していた。そのミーティングで採択された結論は、金曜日にパリで行なわれる世界モータースポーツ評議会に諮られ、最終的に決定される。
「先のミーティングでは、壮大な共同作業を行なう事が出来て非常に嬉しく感じている」FOTAのチェアマンであり、フェラーリ会長であるディ・モンテゼモロはそう語っている。
「このスポーツに厳しい状況が常に付きまとうのは常識化している。昨日我々は、参加者すべてが大きな責任を感じているという事を実感する事が出来た」
「今、世界中に広がる金融危機、そしてここ数年、F1を襲っている急激なコストの増大、それらによってFIAとモズレー会長は、我々の財務状況で可能な範囲内で我々がF1の活動を存続できるように、コスト削減の道を模索してきた」
「そんな中で、我々が最終的に見出した回答は、我々参加者すべての期待をはるかに上回るものとなった。きわめてコンパクトな方法であり、かつて無い物だ。すべての参加者によるF1に対する情熱こそが、モズレー会長の要求をはるかに上回る提案をFOTAにもたらしたのであるが、かなり勇気の必要な提案である事を考慮に入れなければならない。2009年に関してもコスト削減の提案に関して全会一致を見たが、来年は、世界経済にとってもっとも厳しい年となるであろうし、特に、自動車業界においては一段と厳しいものとなるだろう」
「モズレー会長の提案は、F1の持つDNAともいえる、技術と競技性を兼ね備えたものでありながら、今後のシーズンで、我々にとって大幅にコスト削減を可能とするものである。そしてそれは、2012年における完全に新しいF1という形で終結を見る」
「環境面が懸念されている一方、経済水準は90年代のレベルとなるであろう将来に向けて、我々は改革精神と大いなる配慮をもってこの問題に取り組んだ。それでいながら、F1が世界でも最も人気のあるスポーツのひとつである要因である、見る者を夢中にさせるチャレンジスピリッツを維持する事を盛り込んだ」
「モズレー会長は我々の提案を理解し、その内容は、明日のFIA世界モータースポーツ評議会に諮られる事となるだろう。我々はFOTAとして、レース週末の方式など、これからも他の分野においても改革案を模索していく。そして昨日モズレーが表明した見解を踏まえながら、今後数年に渡って詳細を決定していきたい」
「とはいえやるべき事はまだ多く残されている。また、我々としては、F1チームに関係する関係しないに関わらず多くの企業の経済的側面を見据え、支出と収入を常に考慮していく必要がある。この点に関して昨日我々は、F1チームの収入を議論してもらうため、FOMとの会合を持つ必要性があると、FIAに賛同してもらった」