デイビッド・リチャーズもトレバー・カーリンも、ホンダF1チームを買収するのではという憶測をひとまず否定した。この両者が、ドバイ・インベストメント・キャピタルと共同で、買収者となることを有力視されている。
日本のホンダ本社は、ブラックレーに本拠を置くF1チームの売却期限を1月と定めている。売却がかなわなければ、チームは解散となり、800名の従業員が職を失うことになる。ここで、買い手としてリチャーズの名が浮上した。彼はBARホンダとして2002年から2004年までチームを運営してかなりの成功を収め、最後のシーズンには圧倒的な強さを誇ったフェラーリに次ぐコンストラクターズ2位を獲得しており、また自らの率いるプロドライブが今年、カスタマーとしてF1へ参戦しようとしたことなどからして、彼が買い手の候補として推測されるのはもっともな話だ。
プロドライブは、スバル・ワールドラリーチームと、アストン・マーチンによるル・マン24時間のスポーツカー・プログラム、またオーストラリアでのフォード・パフォーマンス・レーシングのV8スーパーカー活動をも運営している。チームの40%は、クウェートのインベストメント・ダー・カンパニーが所有し支配しているが、同社は昨年リチャーズがイギリスのアストン・マーチンを当時の親会社フォードから買収した際にも援助を行った。
しかし56歳のリチャーズは、ホンダ買収の可能性については、まだ何も決めていないと主張している。ホンダは、2008年のF1全チームの中でも最大の予算を投じながら、わずか14ポイントしか獲得できず、コンストラクターズ選手権で下から2番目にとどまった。同チームは、わずか1ドルという価格で売りに出されており、日本のホンダが未払いの負債はすべて処理すると約束している。
「盲目的に飛び込んで、これは自分のなすべきことだなどと断言するつもりはない」と元ベネトンのチーム代表でもあったリチャーズは、ロイター通信に対して語った。
「まず第一に、すべての事実を知りたい。何かに着手する前に、はっきりと状況を確かめたいのだ」
「問題は買収することではなく、すべてをうまく進めて、買収に取り組んでいくことだ。(買うこと自体は)それほど面倒なことではないと思うからね」
「真の問題は、今後チームを維持していくだけのリソースとやる気があると確認することなんだ」
カーリン・モータースポーツは、現在ワールドシリーズbyルノー、A1GP、F3ユーロシリーズ、イギリスF3、ユーロカップ・フォーミュラ・ルノー、フォーミュラ・ルノーUKに参戦している。カーリン・モータースポーツも、“現時点では”共同事業体としてホンダの買収に関わる計画はない、と否定した。
英国サリー州に本拠を置き、何度もチャンピオンを獲得しているカーリンは、やはり2008年のF1参戦を目指していたが、それを果たせなかった。カーリンのイギリスF3チームは、現在、スペインのアルバセテでテストを行っている。先週、シルバーストンでのシリーズ合同テストが極寒のコンディションとなったため、さらに走行距離を稼ごうとしている。
「トレバー(・カーリン)もマーティン(・ストーン)も、ホンダF1チームの買収や運営について、何の話し合いも持っていない」とスポークスパーソンがクラッシュネットに対して語った。