2009年シーズンを前に、ホンダF1チームを買収し、チームを引き継ぐ最有力候補と見られているデイビッド・リチャーズが、買収は「魅力的な計画」であると言う人々の意見に対し、「そうは思わない」と語った。
日本のホンダが先日行ったF1撤退発表によって、ブラックレーを本拠とするチームは、1月の最終期限までに買い手を見つけることを強いられている。見つからない場合には、チームは解散し、最大800人のスタッフが職を失うことになる。
そうした中、チームCEOのニック・フライは、すでに買収に興味をもっている企業が3つあると語った。その中でもっとも真剣にチーム買収を考えているのがリチャーズと見られてきた。
56歳のリチャーズはかつて、ホンダの前身であるBARホンダを2002年からホンダの“ワークス”チームになる2004年まで率いた。チームを去る前にはファーストドライバーのジェンソン・バトンとの関係が悪化していたと言われている。
彼は現在自らが率いているプロドライブで今年F1への参入を考えていたが、カスタマーカーを禁ずるルールのために、参戦を見送ることになった。
しかし、イギリスのデイリー・ミラー紙は、リチャーズが近い将来F1へ復帰するであろうと報じた。リチャーズは、彼がこのプロジェクトの陣頭指揮を執ることを望むふたつのパートナーとコンタクトを取っているというのだ。
報道によると、かかるふたつのパートナーとは、ドバイ・インベストメント・キャピタルと、周囲から尊敬を集めるF3チームのオーナー、トレバー・カーリンらしい。
日本のホンダは、F1チームのすべての負債を負担することを約束しており、チームはわずか1ドルという金額で売りに出されている。ホンダは今年、全チームの中で最大の予算を投じたものの、わずか14ポイントしか獲得できず、コンストラクターズ選手権では下から2番目という苦しい結果に終わった。
しかし、このチームを買収しようとする者は、予算を今年の3億ドルから7000万ドルへ大幅に削減しながら、チームの将来を確実に保証できることをホンダに納得させる必要がある。
「私は物事を広い視野で見ていこうとしている」とリチャーズは強調する。
「ホンダの施設なら(チーム買収は)魅力的な計画だと言う者もいるが、私はその意見に同意しない」
「F1がコストをカットしている時代、ホンダの今年の経費は必要以上のものだ。私は焦るつもりはない」
フライはBBCのインタビューに答えて次のように語った。
「我々はクリスマスの前に、信用に値する買収者を見つけなければならない。もちろん、我々が今年の終わりまでに取引を済ませると言っているわけではない。しかし、ホンダは真剣に買収を考えている者がいることを確信する必要がある」