先週、スクーデリア・トロロッソとの関係に終止符を打ったゲルハルト・ベルガーが、チームの株売却の理由を語ると共に、いつの日か再びF1に戻ってくると述べた。
スクーデリア・トロロッソの株式の50パーセントを所有していたベルガーは、持ち分をディートリッヒ・マテシッツに売却した後、本当はトロロッソの前進のために力を尽くしていきたかったが、スポンサー集めが行き詰まり、経済的に関与する余裕がなかったと認めた。
また、ベルガーは、カスタマーカーを禁じるレギュレーションになれば、マテシッツはトロロッソを売却するだろうとのウワサを認めた。
「トロロッソとやっていければよかったのだが、自分で資金を都合するのは無理だった」とベルガーはオーストリアの通信社APAに語った。
「次なるステップに進むために必要な条件はもはや整ってはいない。ただそこにいるためだけに参戦するというのは、私のスタイルではない」
「レッドブルなしでは、F1で前に進む可能性はないだろう。今シーズン、あれだけの成果を挙げた後に、一歩後退などしたくない。強力な自動車メーカー(がパートナーになってくれる)以外、私には選択肢はなかった。しかしF1は、マニュファクチャラー以外、チームを運営するベースとなるものはないということを、いまだに理解していない。昨年は新規参入スポンサーはわずか3社で、すべて企業間取引であり、グリッド後方のチームにはほとんど何もなかった」
ベルガーのコメントは、カスタマーカーの規則によってはマテシッツはトロロッソを売却するつもりであることを表しており、もし買い手が現れなければ、F1参戦チームはわずか9チームになってしまうかもしれない。マテシッツは2009年末まではトロロッソを運営するつもりであるとは述べているが、2010年から各チームはそれぞれ自分でマシンを作らなければならなくなる見込みとなっている。
「2010年以降はトロロッソは、自分のマシンをデザインし、製造する“デザイナー”とならなければならない」とベルガー。
「現在F1ではコスト削減策が検討されてはいるが、それでもより多額の投資が必要となるだろう。その点を考えると、もしディディ・マテシッツがひとつのテクノロジー施設からふたつのチームへの供給を行うことができなくなれば、トロロッソが売却される可能性は極めて高いと考えざるをえない」
一方で、ベルガーとマテシッツの間に意見の食い違いがあったとの推測も存在する。マテシッツは、セバスチャン・ブルデーの代わりに、日本からの多額のマネーをもたらすであろう佐藤琢磨の起用、さらにフェラーリエンジンとルノーエンジンの交換も望んでいると言われている。
ベルガーは、遠くない将来、再びF1に戻ってくると主張している。
「心配いらないよ。僕がいつかまた戻ってくる可能性は十分ある」