元スーパーアグリの佐藤琢磨が、2009年にスクーデリア・トロロッソの一員となる可能性がささやかれている一方、かつてのチームメイト、アンソニー・デイビッドソンはF1以外の場所に活動の場を移すかもしれない。
琢磨が今月中旬にヘレスでトロロッソのテストに参加することが、今週明らかになった。しかし、デイビッドソンは、彼の高い能力をF1各チームの記憶にとどめておくためにはテストドライバーに戻ることも厭わないと語るものの、F1にとどまれるチャンスはほとんどなさそうである。
彼は、F1チーム、特にBARおよびホンダのマシン開発に大いに貢献してきた。BARのテストドライバーとしてF1の世界に入った彼は、レースドライバーとしては2002年にミナルディで2戦に出場、不本意な結果に終わった後、ホンダの強い意向により、新創設されたスーパーアグリF1でフルタイム参戦を果たす。
しかしわずか2シーズンと4戦にしてスーパーアグリは消滅、ホンダは、デイビッドソンの来季フル参戦の道を確保するため、彼のF1への野望を、少なくとも当面は棚上げさせることにしたのかもしれない。
デイビッドソンは、先週末に行われたインディカーシリーズのデトロイトラウンドにパンサー・レーシングのゲストとして現れた。
同シリーズの公式サイトによれば、2週間前にテストをする予定になっていたものの、マウンテンバイクでのトレーニング中に肩を痛めたために、計画が流れたのだという。
ホンダは、インディカー・シリーズの公式エンジンサプライヤーであり、また5月のスペインGP後にスーパーアグリが撤退してしまった後、次の仕事をデイビッドソンと琢磨が見つけられるよう支援すると公言している。
デイビッドソンはアメリカのオープンホイールのシリーズにまったくの無縁であったわけではない。ホンダでのテストドライバーを務めていた2005年には、チャンプカー・ワールドシリーズのトップチームであるニューマン/ハース・レーシングでの参戦のオファーを受けていた。
だが彼は、インディ500で背中を負傷したブルーノ・ジュンケイラの代役として同チームでドライブするよりも、F1でレースをしたいという彼の目標を追い求めるという選択をした。最終的にジュンケイラの代役を務めたオリオール・セルビアは、現在ではジュンケイラ同様、再統合されたインディカー・シリーズで今季はフルタイムドライバーを務めているのは何とも皮肉なことではある。
デイビッドソンがデトロイトを訪れたその後に、パンサーは、彼と同じイギリス出身で、かつてはカートでのライバルだったダン・ウェルドンと#4ダラーラのドライバーとして来季の契約を結んだ。
だが同チームは、シリーズがかつての盛り上がりを取り戻している中、現在2人目のドライバーをエントリーさせるべく、スポンサー探しに躍起になっていると報じられている。
2人目のドライバー候補として、ウェルドンの加入によってシートが危うくなっている現在のパンサーのドライバー、ビットール・メイラが、チームのCEO、ジョン・バーンズのリストの上位に載せられてはいるが、デイビッドソンもシート争いに加わるものと思われている。
また他に、先月のインフィニオン・レースウェイでの初テストで素晴らしい走りを見せて周囲を驚かせたGP2ドライバー、マイク・コンウェイも候補の1人であり、彼に関しては他のインディカーチームも大きな興味を寄せている。