スーパーアグリの救世主となるかと思われたフランツ・ヨゼフ・バイグルは、F1におけるカスタマーカー存続をめぐる法的問題の行方が不確かであることが、同チームの救済を断念した理由ではないかとの憶測を強く否定した。
トルコGPの直前になって、チーム撤退の発表が電撃的に行われたが、それまでバイグルは、今シーズンの残りの期間、スーパーアグリへ財政支援を行うという内容の契約が締結に近づいているものだと考えていたという。
バイグルは、声明の中で述べられている内容が、チームが終焉を迎えた理由であるとは考えておらず、ホンダF1のCEOであるニック・フライが、スーパーアグリ撤退において大きな役割を果たしていると主張する。今週末のGPのためにイスタンブール・パークに向かったSAF1がパドックに入るのを妨げられたが、フライがその一件に大きく関わっているとも言われている。
「いずれにせよ終わったことだ。策を弄した者が勝利したということだ」スーパーアグリのマネージングディレクター、ダニエル・オーデットから6日にこのニュースを伝えられたバイグルは、ドイツのアウト・モーター・ウント・シュポルト誌に対しそう語っている。
「とても寂しい事だね」
バイグルは、同誌の中で、チームへの資金援助のために、ふたつの投資者とパートナーを組むことになっていたと述べている。
バイグルは、ホンダ側は現在進行中のカスタマーカーをめぐる法廷論争における不確定要素により、カスタマーカーを使用するチームへの投資が魅力に欠けるものとなったと説明したいところだろうが、それは不必要なパートナーの意図的な消滅を隠すための建前に過ぎないと主張する。
バイグルは、この件に関してはすでに2年近くも論争が行われていたにもかかわらず、マグマグループがスーパーアグリに手を差し伸べようとした際には問題に挙がらなかった事実を指摘している。また彼は、鈴木亜久里のチームと最初に関わったのはそもそも自分たちであり、マグマとの話はその後に出てきたものであると語っている。
「私はもともとスーパーアグリの救済を考えていたわけではない。だが彼らが私の元にやってきて、助けてもらえないかと尋ねてきたのだ」バイグルはそう明かし、さらに彼らの最初の話し合いは1月の時点で行われていたと語っている。
「その時から私は資金計画に取り組んできた。だが残念なことに、フライ氏とリーチ氏が我々の間に突然入り込んできたのだ」
バイグルの話によれば、フライは、ドバイの投資者をバックに持つマグマ社を率いるリーチにホンダとの独占交渉権を与えようとしていたという。その時点までは、バイグルとSAF1との間では交渉が継続されており、マグマとの契約がスペインGP直前に撤回された後には再開されていた。両者はバーニー・エクレストンの招きによりバルセロナで再会を果たしており、そのエクレストンは、必要とあれば可能な限り援助をすると約束し、チームの継続を望んでいたという。
バイグルはまた、マグマとの契約の不成立の責任はフライにあるものの、そのフライは、自分が却下したパートナー候補との契約を望まなかったのだろうと語る。
「フライは、我々の取引がうまくいかないようにあらゆる手を尽くしたのだ」とバイグルは述べている。