ルイス・ハミルトンのF1での目新しさはすぐに薄れてしまう――それが、マーク・ウエーバーの見方だ。ウエーバーによれば、ハミルトンは、何度もF1チャンピオンを獲っているドライバーたちとは、まだまったく比較になどならない、ということだ。
23歳のハミルトンは昨年、鳴り物入りでF1にやってきた。新人ながら4勝を挙げ、チャンピオンシップをシーズンの大部分でリードし続け、結局総合2位となった。ハミルトンは2008年も、2戦を終えた段階でまたもやドライバーズランキングのトップにいるが、ウエーバーは、注目も成功も長続きはしないことを覚悟すべきだと主張する。
「彼のキャリアはロケットのようにスタートしたが、いつもそんなふうに行くわけではない」と、レッドブルでエースを務めるウエーバーはインディペンデント紙に語った。
「彼は若いし黒人なので、このスポーツで珍しく見られているが、それには賞味期限がある。黒人でなくなることはないだろうが、目新しさはなくなるだろう」
「彼は今シーズンにも、自分について書かれる記事が完全に否定的だったり、完全に間違ったものだったりするのに直面するかもしれない。それに対処するのは簡単なことではないよ」
ウエーバーはまた、イギリスのファンやメディアがハミルトンに取り憑かれていることに疑問を投げかけた。ハミルトンを、7度のワールドチャンピオンのミハエル・シューマッハーや他の者たちと同列に語るのは、まだいささか時期尚早だと、ウエーバーは強調する。
「確かに彼には才能がある。それは誰もが知っていることだ」とオーストラリア人のウエーバーは認めた。
「だが、彼はまだこのスポーツにやって来たばかりだ。人々は彼をシューマッハーと比較する。比較など成り立たないよ」
「彼がチャンピオンを獲ったとしても、シューマッハーと比較されうるようになるまでには、まだあと6回チャンピオンを獲らなくてはならないんだ。確かに、彼は素晴らしい1年目を過ごした――彼の成し遂げたことは非凡なことだった――だが、偉大なスポーツ選手は長年の活躍によって判断されるものだ……ペレでも、シュテフィ・グラフでも、誰でもね」
ウエーバーは、ハミルトンがグランプリドライバー協会(GPDA)に加入しないことに関する、最近の批判についても語った。ハミルトンが協会に加入していなくても“たいした問題ではない”し、“いずれ加入することになるだろう”と強調した。現在、ハミルトンも現ワールドチャンピオンのキミ・ライコネンもGPDAに加入していない。この協会は、定期的に会合を持ちF1の安全や他の重要事項について話し合っている。
「GPDAは重要な組織だ。僕はフェルナンド(・アロンソ)と共に、2人のディレクターのうちのひとりを務めている。マクラーレンのテストドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサがチェアマンだ。僕らの仕事は、安全に関する問題でFIAと話し合うときに、ドライバーたちの代表を務めることだ。サーキットのデザインや、セーフティカーや、雨の中でドライブすることや、そういった問題についてね」
「こういった議論に加われるのは、僕らにとっていいことだ。マシンをドライブしているのは僕らなんだからね――コース上でどんなことに出会うのかを、僕らは知っている。僕らには発言権があるし、それは重要だ」
「ルイスに加わってもらえたら素晴らしいだろうが、現在のところ、それはたいした問題ではないよ。彼だけではなく――キミ・ライコネン、エイドリアン・スーティル、アンソニー・デイビッドソンもメンバーではないんだ」
「ルイスとキミ――選手権を争っているふたりが加わっていてくれたら、もう少し僕らの立場がしっかりするだろうが、それについてはあまり心配していない。ものごとを推し進めるのがそれで難しくなるというわけじゃない。しかし、加入してくれたほうが、もう少し一体感が生まれるだろうね」
「キミはその手のことには興味がないんだ――彼はそういうたちなんだよ。だが、ルイスは違った性格を持っている。彼はいずれ加入するに違いないと思うし、加入するときが来たら、彼は喜んで関わってくれるだろうと思う」