先週末に行なわれたマレーシアGPにおいて、フェラーリは1回目のピットストップでキミ・ライコネンをフェリペ・マッサの前に出そうとしていた。それが元ジョーダンのデザイナー、ゲイリー・アンダーソンの意見だ。彼は、F1の世界ではいまだにチームオーダーがまかり通っていると示唆する。
セパンにおいてマッサは、チームメイトのライコネンに約0.5秒の差をつけてポールポジションを獲得、ちょっとした波乱を巻き起こした。レースにおいては第1ターンでライコネンと接触しそうになったがかろうじて持ちこたえた。
マッサは最初のピットに入る17周目までレースをリードしたが、ライコネンのピットワークは素早く、マッサのピットワークは時間を要した。その結果、ピットワークの後、ライコネンがマッサの前を走り、その後はずっと勝利に向けて後続を引き離していくのである。
ライコネンの勝利によって、フェラーリはメルボルンの悪夢を消し去ることができたが、マッサは31周目でスピンを喫してリタイヤに終わり、チームにとっての夢であったワン・ツーフィニッシュはかなわなかった。
「最初のピットストップでライコネンがマッサをパスしたやり方は、フェラーリが最初からそれを狙っていたように思えた」アンダーソンはスイスのモータースポーツ・アクチェル誌にそう語っている。
彼はさらに個人的な意見としながらも、フェラーリはいまだに「ナンバーワン・ドライバーのポリシー」を貫いていると語っている。
それはミハエル・シューマッハーの時代から続いている風習のようなもので、その間エディー・アーバイン、ルーベンス・バリチェロ、そしてフェリペ・マッサが、チームにとってのお気に入りのドライバーのサポート役を務めている。シューマッハーが獲得した7度の選手権のうち、5度はフェラーリでのものである。
「忘れないでもらいたいのは、我々は7度の世界チャンピオンに輝いたミハエル・シューマッハーの代役としてチームに加入した男(ライコネン)のことを話しているのだ」と、現在はセタンタ・スポーツでF1の解説を務めているアンダーソンは強調した。
「私が感じたのは、最初のコーナーが鍵となるシーンだったと思う。そこではライコネンはフェリペと接触しないようにあえて無理をしなかった。キミは、常に大きな絵を見ている」