スパイカーF1のチームボス、コリン・コレスは、クリスチャン・アルバースの後任として山本左近を起用するという“意外な”決定について、その妥当性を主張している。
アルバースに代わるレギュラードライバーの候補には、ホンダのサードドライバーであるクリスチャン・クリエン、ウイリアムズのテストドライバー、ナレイン・カーティケヤンなども含めて、何人かの名前が挙げられていた。
しかし、最終的に白羽の矢が当たったのは、昨年スーパーアグリで数戦を戦いながら、これといった結果を残すこともなく終わり、今年BCNから参戦したGP2でも特に目立った成績を挙げていない山本だった。
「左近は総合的にとても優れたパッケージだ。私たちが選ぶドライバーは、一定のレベルの財政的利益をチームにもたらす必要があることは最初から明言していたとおりだが、同時にF1でのある程度の経験も必要だった」とコレスは言う。
「スパを唯一の例外として、彼はシーズン後半戦で私たちが訪れるサーキットの全てでドライブしたことがある。それは私たちが進歩していく過程でチームに利益をもたらすだろう」
山本とエイドリアン・スーティルが強力なコンビになると思うかとの質問に対し、コレスは、それぞれの経験はまだ浅いとしても、彼らは互いに敬意を払いあうだろうと付け加えた。
「そうだね。私としては、彼らが強力なコンビになると思いたい。エイドリアンはクルマに関する経験があり、チームにもよく溶け込んでいる。それに対して、左近にはこれから訪れるサーキットに関する経験がある」
「個人的なレベルでは、彼らはいずれもいい仕事をしてモータースポーツの最高峰でレースをできることを証明したいと考えている。そうしたハングリーさと熱意は、私たちにとってもいいことだ。特に今はドライバーにクルマの能力を余さず引き出してもらうしかない時期だからね」
またコレスによれば、最近のドライバー変更がチームを不安定にするようなことはなかったという。
「ニュルブルクリンクを訪れた人なら、誰もがマルクス(・ビンケルホック)が残したインパクトの大きさを知っているはずだ。テレビやプレスの取材も、かつてなかったほどの多さだった。そして、チームの歴史上初めてレースをリードした。残念ながら、コース上のパフォーマンスでインパクトを与えられなかったのは明らかだがね。左近の加入によって、また同じことが期待できると思う。もちろん、再びレースをリードするとは思っていない。あれはきわめて例外的な状況の中で起きたことだ」