F1第6戦カナダGPの決勝がカナダ・モントリオールのジル・ビルヌーブ・サーキットで行われた。午後1時、気温26度、路面温度53度、湿度56%というコンディションの下、開始されたレースは、ハイスピードかつ特設コース特有のフェンスに囲まれたコースでアクシデントが続出。4度に渡ってセーフティカーが導入され、10台が戦列を去るという大波乱のレースとなった。セーフティカー導入の度にめまぐるしく順位が入れ替わるレース展開の中で、ラルフ・シューマッハーは18番手という後方スタートから粘り強く順位を上げ、8位に入賞。開幕戦以来となるポイント獲得を果たした。
一方、10番手からスタートを切ったヤルノ・トゥルーリは、6位まで順位を上げたが、58周目、4度目のピットインからコースへ戻った直後にスピンを喫し、コースオフ、レースを終えることとなってしまった。
ラルフ・シューマッハー
「私にとっては今回も厳しいレースウィークだった。もちろん18番手というグリッドからポイント獲得を果たせたことは良いことだ。誰もこの結果は期待していなかったのは確かだが、レースは大波乱の展開だった。今日我々は、後方グリッドポジション故に燃料を多く積み、重い状態で最初の給油ピットインまで臨んだ。“TF107”の状態は、それほど悪くなく、前車に追いつくことは出来たが、直線でのスピードが不足しており、シケイン進入で追い越しを行うのは困難だった。レース終盤、佐藤琢磨(スーパーアグリF1)に追い抜かれたが、この時、彼はハード、私はソフトタイヤを履いていた。今日の状況ではソフトタイヤの方が劣っていたのは明らかだったが、競技規則のために私はソフトタイヤで走らざるを得なかった。我々の前には多くの課題が待っているが、少なくとも我々は今日ポイントを獲得出来た」
ヤルノ・トゥルーリ
「非常に過酷なレースとなってしまった。スタートはまずまずだったが、グリップが不足しており、特に、周回を重ねて、給油ピットインする直前までペースを維持することが出来なかった。最初のセーフティカー導入時にピットインを行い、新しいタイヤに交換した後、後部にR.クビサ(BMWザウバー)が接触してきて、彼はクラッシュを喫した。私は自分のラインから動いたわけではないが、彼が回転してクラッシュしたのを見て非常に心配していた。共にF1を戦う仲間があのような大クラッシュを喫し、後部から接触されれば、あまり気分の良いものではない。その時点では私は多くのことを考えていたが、彼が大事に至らなかったと聞き、一日も早く戻って来ることを望んでいる。この接触で私はパンクを喫し、再びピットインを強いられたが、その後どのポジションにいるのか確実なところは分からなかった。予想していなかった最後のピットインを行うことになり、最後尾でコースに戻ることになったため、前走車に追いつくためにハードに攻め過ぎてしまい、フェンスにクラッシュしてしまった。しかし、今日のような一日においては、レース自体は重要ではない」
新居章年
技術コーディネーション担当ディレクター
「荒れたレースだったが、ラルフ・シューマッハーが18番手グリッドからポイントを獲得してくれたことは非常に嬉しい。しかし、全体としてはラルフ・シューマッハーもヤルノ・トゥルーリもグリップが不足しており、本来の力を出せなかったことは残念だ。次週のアメリカGPまで時間は無いが、出来ることを尽くし、しっかりとパフォーマンスを引き出したい」