冷静さと自信。これが、スパイカーのマネージングディレクター、コリン・コレスの今シーズンに対する姿勢だ。チームは今、波乱に満ちた数年を経て、自信回復に努めている。
スパイカーの前身であるジョーダンは、2005年初めにミッドランドにより買収され、昨年9月、同チームはスパイカーによって買収された。その間、チームは数え切れないほどの変化とスタッフの出入りに直面したが、オランダに本拠地を置くスパイカーがチームを買収した後は、必要とされていた安定性がようやくもたらされ、コレスは2007年シーズンがまさしく新たなスタートになると確信している。
「私はとても冷静だし、自信に満ちている。そして、今シーズンを楽しみにしている」と、英クラッシュネットに対して語ったコレス。
「序盤はかなり厳しいものになるだろう。我々は全くの新車、昨年のマシンとはコンセプトの異なる、改良されたマシンを用意しているが、まだ自分たちのポジションを正確には把握していない」
39歳のコレスは、スパイカーによる買収劇がスタッフの士気に大きな影響を与えたと考えており、運に見放されていたチームを好転させるための重要な要因となったと語った。
「最初の一歩はチームを救うことだった。その次は安定させること。そしてこれからは、マシンを進化させ、好成績を収めなくてはならない」とコレスは強調する。
「ここで働いている人たちは変わっていないかもしれない。要は、彼らに自信を取り戻させることだ。彼らが自信を持てるようになれば、より一層がんばれるだろうし、そうすれば、おのずと成績に表れてくる」
今後のカギとなるチームへの新風としては、技術部門で名高いマイク・ガスコインがチーフテクニカルオフィサーの役についたこと、そして、昨年のトヨタエンジンに代わってフェラーリエンジンを獲得したことがある。コレスは、この2点がもたらす好影響はすぐに発揮されるだろうと自信を持っている。
「マイクはチームに経験を持ち込んでくれた」とコレス。
「我がチームのテクニカル部門は、非常に若く、そして意欲的だ。我々が望む目標を達成するためには、マイクに開発時間を短縮してもらわねばならない。経験のおかげで、彼はチームを進むべき方向へと導くことができる。これは重要なことだよ」
「フェラーリとの関係を築けたのも、間違いなく非常に良いことだね。エンジンの回転数を19、000回転で抑えなければならないという点にも助けられるように思う」
ドライバーについて言えば、2年目を迎えるクリスチャン・アルバースに、全日本F3チャンピオン、エイドリアン・スーティルが加わった。スーティルは2004年、ヨーロッパF3にコレスのチームから参戦しており、コレス自身がよく知るドライバーだ。ルーマニア生まれのドイツ人であるコレスは、この若手ドライバーふたりと、F1では新記録となる4人のテストドライバーに高い期待を寄せている。
「クリスチャンは確実に経験豊富なドライバーとなりつつある」とコレス。
「我々は、彼にいいマシンを準備しなければならない。そうすれば、彼も実力を示せるだろうからね。エイドリアンは、昨年のテストでマシンに素早く順応し、自身のポテンシャルを見せていたように思う。あれには本当に驚いたし、それが彼にチャンスを与える理由になった」
「4人のテストドライバーを擁するというのは、我々が自ら選んだ戦略だ。若手ドライバーをF1の世界に送り込んで、彼らのポテンシャルを発揮する場を与えたかった。彼らの中で誰が最も優秀なのか分かるだろうし、彼らの未来がどう開かれていくかも分かる。マレーシアは我々にとって非常に重要なマーケットだし、スペインもそうだ。特に、スペインにおけるアロンソの熱狂的な人気ぶりを見るとね。それと、ドイツもとても大きなマーケットだね。スパイカーの本拠地、オランダも重要だ。我々は4人のテストドライバーによって、いくつかの重要なマーケットをカバーしようとしているわけだ」
今シーズンに向けての最終的な抱負については、必然的に苦しいスタートになるとは予測しているものの、確かな進展があれば、長年チームが果たせなかった“ポイントを獲得するという功績”をあげることができると確信しているという。
「ポイントを拾うというよりも、自らポイントを獲りにいけるくらい、チームが向上するように願っている」とコレスは断固たる決意を示した。
「メルボルンで、自分たちのポジションを見てみなくてはならないがね」