レッドブルのドライバー、マーク・ウエーバーは、過去2シーズンに渡り在籍したウイリアムズチームについて、現在、資金不足の同チームは下方スパイラルに陥っており、そこから抜け出すことは不可能だろうと、辛辣な意見を述べた。

　率直な物言いで知られるウエーバーは、ウイリアムズには自分のF1キャリアをもう少しで駄目にされるところだったと語った。彼は残りのF1人生を最後までそこで過ごすつもりで、ウイリアムズに加わったのだという。ウイリアムズは、F1での31年の歴史の中で16回もワールドタイトルを獲っているが、2005年以降は1勝も挙げていない。昨年のウエーバーは6位に2度入るのがやっとで、シーズン終了時のドライバーズランキングでは14位と低迷した。

「僕はウイリアムズに行って、そこでキャリアを終えるつもりだったんだ」と30歳のウエーバーは、母国オーストラリアのヘラルド・サン紙に対して語った。
「しかし、それは多くの人の信用をひどく傷つけることになった。これほど大きく成績が落ち込むときには、そうなるものだ」

　今シーズン、レッドブル・レーシングでドライブするウエーバーは、ウイリアムズがトヨタの“Bチーム”に収まったとして批判した。そして、マニュファクチャラー主導のチームがますます優勢となっているこの時代に、ウイリアムズが陥っている下方スパイラルを止めるのは難しいだろうと予想した。
「彼らにとって状況は厳しそうだ」とウエーバー。
「本当にね。彼らは新しいエンジンを手に入れたかもしれないが、マシンの基本はたいして変わっていないんだから、今年、彼らの成績に変化が起きるという理由はなにもないよ」
「ウイリアムズは、今やトヨタの“Bチーム”だ。否定はされるだろうが、実際“Bチーム”というのはそういうものだと認識されている。確かに彼らはトヨタを破ろうと頑張るだろうが、日本のトヨタは当然、ワークスチームの方が成功することを望むだろう」

　今年ウイリアムズはトヨタエンジンにスイッチし、この3年、毎年違うエンジンを使うことになる。2005年にはBMWとの手痛い離別があり、昨年使用したプライベーターのコスワースエンジンとの関係も1年で終了した。安定性が鍵となるこのスポーツで、これはかなりこたえるだろうとウエーバーは考えている。特に、過去2シーズンにおけるチーム内の組織は、まさに不安定さのお手本のようだったという。

「僕らが昨年のマシンを発表した時、メカニカル的にも空力的にも、他の連中と比べて一歩前進できるようなものは何もなかったんだ」
「十分な速さがあったときには十分な信頼性がなかったし、十分な信頼性があったときには十分な速さがなかった」
「トルコは典型的な例だった。僕は（予選で）トップ10に入り、1コーナーを抜けたときには4位まで上がり、ミスのないレースをした。それなのに、レース中は最速ラップで14番手のタイムしか出せず、こてんぱんにやられてしまった。90分のレースで、キミ（ライコネン）から2、30秒遅れでフィニッシュできればいいほうだった。彼はマクラーレンに乗っていて、自分がウイリアムズに乗っていることを考えれば、この状況下で、それだけやれて完走できれば悪くはないとね。でも、そんなことをしたくてウイリアムズに入ったわけじゃないんだ」

　ウエーバーはレッドブルに移籍したことで、自分の将来が明るくなったと信じているが、それでも、ウイリアムズのような栄光に満ちた由緒あるチームが、近年のように急激に没落していることに関しては寂しさを覚えると語った。
「ウイリアムズの財政は厳しい状態だ。僕らは月末にバーレーンテストを行うことになっていて、それは役に立つと思うが、ウイリアムズは財政上の理由で参加できない。ウイリアムズは今でもファクトリーに素晴らしいリソースを持っている。だからこそ、そこで起こっていることが信じがたいよ」

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