フェラーリのチームボス、ジャン・トッドは、日曜日のレースで受けた大きな打撃に対し、いかにもフランス人らしく肩をすくめて、「これがレースだ」というストイックな態度で応えながら、チームはインテルラゴスで大きな壁に挑まざるをえなくなったことを認めた。
ミハエル・シューマッハーは日本グランプリの残り16周までレースをリードし、今季8勝目と、ドライバーズ選手権でフェルナンド・アロンソを2ポイント上回る有利な立場に立つのは確実かと思われた。しかし、シューマッハーがレース中に経験したものとしては実に6年ぶりのエンジンブローにより、その目論見は完全に覆され、逆に残り1戦でアロンソに10ポイントのアドバンテージを与えてしまった。
レース後のフェラーリ陣営の反応はさまざまで、シューマッハー自身がタイトル奪取をほぼあきらめたかのような発言をしたのに対し、ルカ・ディ・モンテゼモロ社長はブラジルGPの週末に“最後の1メートルまで”戦うと述べた。しかし、トッドはこのいずれとも異なるきわめて冷静な姿勢をとっている。
「計算上はまだ可能だが、論理的に考えればきわめて難しいだろうということは、私たちにも分かっている」とトッド。
「しかし、それがレースというものだ。レースに勝ち、選手権を勝ち取るためには、パフォーマンス、いいタイヤ、いいチーム、信頼性、そしていいドライバーが必要だが、私たちにはその中の信頼性が欠けていた。そして、そのためにこれ以上はないというくらい高い代償を支払うことになった。これは私たちのミスであり、それは認めなければならない。ライバルたちはミスをしなかったがゆえに、彼らの方が前にいる。それが道理というものだ」
「私たちはもう長いことこの世界にいる。成功したときにはハッピーになるだろうし、そうでないときは、とにかく先へ進まなければならない。時には過去の素晴らしい時期、成功、友情、類い稀な関係といったものを思い起こすこともあるに違いない。思い通りにはならないことの多いこの世界で、情熱を注いで仕事ができる私たちは幸運だ。私たちはひとつひとつのことを大事にしていかなければならない」
アロンソの10ポイントのリードに加えて、ルノーがフェラーリに対して9ポイントのアドバンテージを手に入れた現状について、トッドは今季のタイトル獲得が決して容易ではなくなったことを認めている。
「自分たちの努力次第で選手権を勝ち取れる状況になればいいのだが、現状では自力でタイトルを確定することはできず、ライバルのトラブルに期待するしかない。つまり、私たちにはどうにもならないパラメータがたくさんあるんだ。とはいえ、私たちは日曜日に味わった落胆を忘れて最終戦に臨み、可能な限り最良の結果を残したいというモチベーションを高めている。その結果がどうなるかは、やってみれば分かるだろう」
また、シューマッハーのエンジントラブルについて、トッドは前兆らしきものは何もなかったと述べている。
「全く突然のエンジンブローだった。正確な原因は分からない。いずれ原因は特定されるものと思っているが、正直なところ、あのエンジンはかなり激しく損傷しているので、原因の特定は難しいかもしれない。いずれにしても、現時点ではよく分からない」