ルノーF1チームのエグゼクティブディレクターオブエンジニアリング、パット・シモンズによれば、フェルナンド・アロンソが日本GPで勝利して両タイトルに王手をかけてはいるものの、2006年F1世界選手権の最終戦となるブラジルGPに対する彼らのアプローチは、これまでと全く同様であるという。
日本GPでフェラーリのミハエル・シューマッハーがリタイアを喫したことで、アロンソがドライバーズ・ランキングで10ポイント優位に立ち、さらにルノーが1−3フィニッシュを飾った結果、ブラジルGPを前に、同チームはフェラーリを9ポイント上回る結果となった。しかしシモンズは、ルノーのガードが甘くなることはないと述べた。
シモンズは、鈴鹿でのリザルトについて次のように語った。
「これで何かが変わることはない」
「今日の結果によって、ブラジルへのアプローチが少しは楽になった。ミハエルは(タイトル獲得への)チャンスを失ったように感じているかもしれないが、まだ計算上は彼が勝つ可能性はある。我々はその事実を心に留めなければならない」
「私は、彼がこれまでと変わらずにプッシュしてくると確信している。いつものように我々のブラジルへの戦略は、確かな信頼性に基盤を置いて、完走するためのパッケージを用意することだ。我々の方は、リスクを冒さなくてはならないような立場にはない」
「私は全くの互角になると見ているし、その日のコースコンディション、その時の温度において、働きのいいタイヤを持つ方のチームが有利になるだろう。ブラジルは両チームともに成績が良く、昨年はフェルナンドがタイトルを決めた場所であり、我々もサーキットのことはよく分かっている。魅力的なバトルが展開されることだろう」
ここ数週間は、ルノーがコンストラクターズ争いで劣勢に立たされた感があった。それだけに、アロンソが6月終盤のカナダGP以来となる1勝を挙げて自分たちの方に流れを引き戻したことを、シモンズはとりわけ喜んでいる。
「2カ月前のハンガリーGP以降は、再び優勝することはできないのでは、という強迫観念があって、チームもなかなか優勝できないことに焦りを感じていた」とシモンズ。
「それだけに、今日の優勝がより一層嬉しく感じられる。もちろん、チャンピオンシップにおいて重要な時期だったということはあるが、過去2カ月に味わってきた失望の見返りのようにも感じられる」
鈴鹿ではタイトル争いを繰り広げる2チームの相対的なパフォーマンスに注目が集まり、シューマッハーが5秒のリードを築いていたレース中盤には、フェラーリ有利と結論づける者が多かった。しかしシモンズは、アロンソがシューマッハーを逆転できなかったとしても、その力関係は限りなく互角であると感じていたようだ。
「ミドルスティントで、フェルナンドが迫力の走りでミハエルに迫っていたので、(ミハエルが走り続けていれば)彼に追いついていただろうと思う」
「だが2台には、鈴鹿のようなサーキットで追い抜けるほどの、パフォーマンスの差はなかったはずだ。ミハエルのリタイアが、レース終盤での典型的なアロンソ対シューマッハーのバトルを奪い去ってしまったのではないかと、私自身は考えている」