ドラマと緊張の連続だったシーズンの末に、日本GPで“嬉しい驚き”となる勝利を挙げたフェルナンド・アロンソは、自分の幸運が信じられなかったと述べた。ミハエル・シューマッハーのショッキングなエンジントラブルもあり、このリザルトによって、アロンソのタイトル防衛がほぼ確実となった。
当然ながらアロンソは、この結果に有頂天になっている。特に、予選でのフェラーリの強さからして、明らかにフェラーリに分があったからだ。しかし、ミハエルのエンジントラブルのおかげで勝てたのかもしれない、と認めつつも、アロンソは、ルノーがレースではフェラーリと同じペースで走れたと主張した。
「今回勝てたことに、誰もが驚いている。嬉しい驚きだ」とアロンソは笑顔で語った。
「予選を終えた時点で、フェラーリとの差はかなり大きいように思えた。でも、今日レースをスタートしてみると、マシンのバランスがよく、フェラーリと同等の速さで走れることが分かった」「スタートではリスクを冒してヤルノ(・トゥルーリ)を抜いた。それが唯一のチャンスだったからだ。最初のスティントの後の方で、ラルフ(・シューマッハー)がトラブルを抱えているのが分かったので、ターン1で彼を抜いた。2回目のストップの後も、勝つ可能性はあると思っていた。ミハエルとのギャップはたったの5秒だったんだ。当然だろ?」
「そしたらターン8の入り口でスモークが見えて、アスファルトにオイルがついているのに気付いた。前を走っていたスパイカーだろうと思っていたら、(ミハエルのマシンを)通り過ぎる瞬間になって、ミハエルだと分かったんだ。その後は、エンジンの回転を抑え、慎重に完走を目指した」
カナダ以来となったアロンソの優勝だが、この1週間は舞台裏で不協和音が続いていた。アロンソが、来季マクラーレンへの移籍を予定していることで、ルノーチームがタイトル争いをサポートしてくれていない、と暗にチームを批判したからだ。
しかし、レース後にパルクフェルメで愉快なダンスを見せて、勝利を祝ったアロンソは、チームに悪感情は持っていないようで、この優勝をチームと去りゆくタイヤサプライヤー、ミシュランに捧げた。
「今回の優勝はルノーにとって大きな意味を持つ。僕らはこの勝利に値するチームであり、ハンガリーからずっと勝利を待ち続けていた。サーキットに来ているスタッフ、ビリーとエンストンのファクトリーで働いている人々、ミシュランのスタッフ、みんながシーズン中、一度も諦めなかった」
チャンピオンシップで10ポイントのリードを得たアロンソは、ブラジルで8位に入りさえすれば、2年連続のタイトルを獲得することができる。彼はまだ満足しきっているわけではないが、勝利をほぼ手中にしたことを認めた。
「ブラジルには自信を持っている。でも、思い込みはいけない。レースは長く、トップでフィニッシュするために、あらゆる条件を整えなければならない。選手権争いにおいて、立場は楽になったけれど、インテルラゴスでも、戦い方は同じだ。勝利を目指すよ」