メカニカルトラブルによるリタイアという、意外な形で日本GPを終えたミハエル・シューマッハーは、自らのドライバーズタイトル獲得の望みがついえたことを認めた。ミハエルが8度目のタイトルを獲ってキャリアを終えるには、ブラジルGPで自分が優勝し、フェルナンド・アロンソがリタイアするという、ほとんど不可能なシナリオが必要となった。
ミハエルとフェラーリが明らかに優勢だった今回の週末。ミハエルはレース中、圧倒的ではなくとも余裕のリードを保っていたが、エンジンが悲鳴を上げ、彼は一陣の煙とともにマシンをコース脇に止めざるをえなかった。彼がエンジントラブルを喫したのは5年以上ぶりのことだった。この瞬間が、今年のチャンピオンシップを象徴する場面となりそうだ。
ミハエルがその輝かしいキャリアを終えようとしている今、このレース結果はタイトル獲得の望みに壊滅的な打撃を与えた。これで、最後のレースとなるインテルラゴスで優勝したとしても、世界タイトルを獲得できるとは限らなくなった。
計算上はタイトルの望みがなくなったわけではないが、実際のところ、ミハエルはすでに負けを認めている。ブラジルで、アロンソのリタイアによってチャンピオンを獲得したくはないというのだ。
「ドライバーズ選手権は負けたね。ライバルのリタイアを願いながら、次のレースに向かいたくはない。そんな風にタイトルを取りたいわけじゃないんだ」
ミハエルはこのレース結果について、冷静に受けとめていた。エンジントラブルもこのスポーツの一部だと言うにとどめ、伝統的に鉄壁を誇るフェラーリチームの責任を強調することはなかった。フェラーリにとっては本当に久々のエンジントラブルだった。
「僕らは素晴らしいチームだ」とミハエルは語った。「スタッフは最高だし、僕はフェラーリの全員に対して愛情を抱いている。仕事の進め方にも、いつもこの上なく満足している。今日起きたようなアクシデントは、起こりうるものだし、それもレースの一部だ。勝つときも一緒なら、負けるときも一緒だ。今日はベストを尽くした。レースをリードしていたが、エンジンが壊れた。簡単に総括すると、そういうことだ。それがF1だ」
それでもミハエルは、フェラーリにコンストラクターズタイトルをもたらすべく全力を尽くす、という務めがまだ残っていると言う。ブラジルでまだ18ポイントが獲得可能であり、ルノーとのポイント差は9ポイントだからだ。彼は引退前に、少なくともひとつのタイトルはぜひチームに残していきたいと考えている。
「カナダ以来成し遂げてきたことには、誇りを持っていいと思う。当時25ポイント差をつけられていたので、僕らがまたタイトル争いに絡めるようになるなんて、誰も思っていなかっただろう。でも僕らはそれをやってのけた。今、コンストラクターズ選手権では9点差で負けているが、ブラジルではタイトル獲得のためにできることはすべてやるつもりだ」