ビタントニオ・リウッツィによれば、スクーデリア・トロ・ロッソがポイントを取るチャンスをつかむためには、何らかのリスクを冒す必要があるという。回転数を制限されたV10エンジンは、V8勢に対してどうしても予選で不利になるからというのがその理由だという。
ニュルブルクリンクでのリウッツィは“罪なき犠牲者”だった。1コーナーでラルフ・シューマッハーに押されてスピンし、さらにレッドブルの同僚であるデイビッド・クルサードにもヒットされた。ちなみに彼はマレーシアでも1周目にラルフのチームメイトであるヤルノ・トゥルーリと接触してダメージを負い、オーストラリアではジャック・ビルヌーブにグリーンに押し出されて大クラッシュを演じている。
「スタートはものすごく良かった。それでデイビッドやラルフとサイド・バイ・サイドになったんだ」とリウッツィ。
「僕は1コーナーのアペックスに向かっていて、ラルフはすでに僕のすぐ後ろにいた。ビデオを見た限りではね。僕としては彼との間にはもっと距離があると思っていたんだけど。たぶん彼はデイビッドに抜かれまいとしていたんだと思う。そしてラルフはリヤをロックさせて、そのまま僕のクルマに突っ込んできた。そのおかげでリヤサスペンションとリムが壊れたんだ」
「僕はスピンしながらデイビッドを巻き込んでしまった。彼は僕のクルマをまっすぐな状態に押し戻してくれたけど、その時すでに僕のクルマにはリヤタイヤが片方しかなかったんだ! 僕としてはかなりいいところまで行けそうな気がしていた。グリッドへ向かうラップでも、クルマはとてもいい感じだったからだ。ものすごくポジティブな気持ちでレースに臨んでいたんだよ。そして素晴らしいスタートを決めて、1コーナーでは11位まで来ていたのに、最悪な展開になってしまった……」
こうした不運の連続は、グリッドポジションが良くないせいだとリウッツィは言う。それでもニュルブルクリンクでは、またしても予選の第2ラウンドまで進出して見せたのだが。
「仕方のないことだけどね。コンペティティブなクルマに乗っていれば、もっとずっと楽になるだろう。普通に走れば上位にいられると分かっているなら、リスクを冒さずにただ自分のペースを守ればいいんだから」
「だけど僕らみたいなポジションにいると、ポイントを取るためには全力で戦わなければならない。もう必死で努力をする必要があるんだ。だって9位でフィニッシュした程度では、自分たちのポジションを押し上げたことにならないからね。僕らとしてはポイントを手に入れるためにできることは何でもやるし、かなりハードにプッシュもする。そうするとやはりアクシデントも起きやすいわけさ」
スペインGPは厳しい戦いになるだろうと、彼は考えている。ライバルチームはたっぷりとテストをしてコースを知り尽くしており、それが予選ではライバルに有利に働くと予想されるからだ。
「バルセロナは厳しいだろうね。誰もがサーキットをよく知っている。彼らはテストで相当走りこんでいて、準備もしっかり整っているはずだ。レースペースに関しては僕らもかなりの競争力があるんだけど、予選でのペースが上がらないことで苦戦している。1周のアタックについてクルマを改善すべく努力する必要があるね」