ウイリアムズのテクニカルディレクター、サム・マイケルは、マーク・ウエーバーのFW28にハイドロリック系のトラブルが起きてリタイアを強いられなければ、5位入賞を果たせたはずだと述べた。
ウエーバーとチームメイトのニコ・ロズベルグは、予選前にエンジン交換を行った。そのため、ウエーバーは19番グリッドからのスタートとなったが、彼はそこから好スタートを決めた。彼は、ロズベルグ同様2回ピットストップの戦略を採っており、1回目のストップはレース距離の半分を超えたところまで遅らせる予定だった。
「彼は間違いなく、トップグループ近くの5位でレースを終えられるはずだった」とマイケル。
「ルノーの1台とフェラーリの2台には、明らかに追いつけなかった。マークはニコよりも、1周分だけ長く走行する予定だったんだがね」
ウエーバーは、第1コーナーでのビタントニオ・リウッツィとデイビッド・クルサードのアクシデントに助けられて、1周目にして7つもポジションを上げ、12番手まで上がっていた。皮肉なことと言うべきか、昨年はウエーバー自身が、同じ場所でアクシデントに巻き込まれている。
「マークは自分の力で(ポジションアップを)やってのけた。本当に立派だ。スタート自体は平均的な出来だったが、それによる悪影響はなかったようだ。第1コーナーに向けて自分のポジションを完璧に決めて、素晴らしい仕事をやり遂げた。34周目まで12位のままで走行できていたら、かなりいい結果が出ていただろう」
「我々の戦略は、他の誰とも全く違っていた。第1スティントを長くする予定だったのだ。しかし、最終スティントでの(ニコの)ラップタイムを他のドライバーたちと比較してみてほしい。このころはまだ誰もがプッシュしていたが、我々はルーベンス(バリチェロ)に押さえられていた。ホンダが、後続を押さえてしまっていたのだ」
マイケルはロズベルグのドライビングを絶賛しながらも、チームは予選でもっといい結果を出すべきだったと認めている。
「(ニコが)22番グリッドからスタートして7位でレースを終えられたのは、非常に良かった。もし我々が彼を予選3回目まで進ませてやれれば、彼はかなりの好結果を望めるようなポジションからスタートできる」
「我々がもっとも力を入れて取り組むべきは、予選の速さだろう。エンジン交換によるペナルティーで、状況が悪化してしまったのは明らかだ。しかし、そのことは別にしても、同じタイヤを使っているフェラーリとは、テストやプラクティス、レース中のロングランでの速さは、コンマ2、3秒しか変わらないのだ。おそらくフェラーリは、予選での秘訣といったものを見つけ出しているのだろう。それこそが、我々の取り組むべきことだ」
2台ともエンジン交換を行ったことについては、そうしなければ共に完走を果たせそうにないことが明らかだっただけに、マイケルは「後悔していない」と述べた。
「チャンスは皆無だった。完走させられなかっただろう」