バーレーンで開催された2006シーズン開幕戦は、予選4番手スタートのフェルナンド・アロンソ(ルノー)がミハエル・シューマッハー(フェラーリ)を僅差で下して快勝。3位には最後尾スタートから1ストップ作戦を敢行したキミ・ライコネン(マクラーレン)が入り、表彰台の一角を得た。
57周で争われるこのレース、ほとんどのマシンは2ストップ作戦で決勝に挑んだ。セナと並ぶ最多PP記録をマークしたミハエルは、アウト側から順当に首位をキープして1コーナーをクリア。だが背後から絶妙のスタートを切ったアロンソがジェンソン・バトンとフェリペ・マッサをパスして2位に浮上、ミハエルとの一騎打ちに持ち込む形に。それでもミハエルは、序盤からひとり1分33秒台のペースで、アロンソを引き離し、2台の差は5周目には2秒3にまで広がっていた。さらに、真後ろからアロンソを追っていたマッサが7周目の1コーナーでブレーキをロックさせてスピン! コントロールを失ったマッサのフェラーリは、1コーナーにターンインしようとするアロンソの鼻先に飛び出した。アロンソはすんでのところで接触を避けたものの、これでミハエルとの差は4秒5にまで広がってしまった。
ミハエルはアロンソとの差を6秒以上に広げて15周目にピットイン。これで4番手にポジションを落とすが、トップに立ったアロンソも19周目にピットへ。2台は再び僅差でトップ争いを演じることになった。セカンドスティントでのアロンソはミハエルを凌ぐ速さを見せており、すぐに1秒以内に迫ると、そのままミハエルの背後を脅かし続けた。
勝敗を分けたのは2回目のピットインだった。36周目にミハエルがピットインすると、アロンソはハイペースでタイムを稼いで3周後にピットへ。コースに復帰するアロンソとミハエルは、ほとんど並ぶ形で1コーナーへとなだれ込んだが、イン側にいたアロンソがわずかに前に出ると、ミハエルを逆転することに成功したのだ。ミハエルは終盤、0.8秒差まで迫ったものの仕掛けるチャンスを見出せず。アロンソがそのままのポジションをキープし、開幕戦優勝を飾った。
2位ミハエルに続いたのは、予選トラブルで最後尾スタートとなったキミ・ライコネンだった! 燃料満載でスタートしたライコネンは、24周目には3位に浮上。30周目に1回限りのピットインを行うと、そのままチェッカーまでを走りきった。終盤、2回目のピットインを終えたジェンソン・バトンが背後に迫ったが、ライコネンは最後までバトンにつけ入る隙を与えなかった。
5位ファン‐パブロ・モントーヤ、6位マーク・ウェーバーに続いたのはルーキーのニコ・ロズベルグ。3回ストップ作戦を採ったロズベルグはトップを上回る1分32秒台を連発する速さを披露。スタートの1コーナーでスピンを演じて最後尾にポジションを落としたものの、思い切りのいいオーバーテイクで次々にライバルを下し、デビュー戦で2ポイントを稼ぐことに成功した。ラスト2周でロズベルグに抜かれたクリスチャン・クリエンが8位。9位にはスピン後のピットインで大きく遅れたマッサ、10位には1回ストップ作戦で厳しいレースを戦い抜いたデイビッド・クルサードが入っている。
序盤、僚友バトンと順位を入れ替えながらトップグループを走ったルーベンス・バリチェロは、第2スティント以降ペースが上がらず15位に沈む。トヨタ勢では3回ストップのラルフ・シューマッハーが14位、2回ストップのヤルノ・トゥルーリが16位に終わった。
短期間でF1デビューに漕ぎ着けたスーパーアグリは、佐藤琢磨が6回のピットインの末に18位完走。井出有治はコース上でマシンストップ。F1デビュー戦はリタイアとなった。
ルノー、フェラーリ、マクラーレンが表彰台を占め、ホンダも僅差で4位獲得と、トップコンテンダーの実力は伯仲。さらにウイリアムズやレッドブルも上位に食い込むなど、混迷のシーズンを予感させる開幕戦となった。