元F1ドライバーの鈴木亜久里は、自分もF1チームを作りたいと思っていることは認めたが、鈴鹿の週末に話題の的となっていた“第2のホンダチーム”との関わりは否定した。
パドックの関係筋のひとつによれば、ウワサのチームは亜久里と童夢が運営し、そのプロジェクトは実現が確実、と言われている。両者の名はBARの話題と関連して、先週の前半にも候補としてそれぞれが名指しされていたが、セットで語られることはなかった。
鈴木亜久里がBARとホンダに対して、BATが所有していたチーム株の55%の持ち分を、自分のスポンサーマネーで購入する交渉をしていた、ということが言われていた。ホンダは常に株の100%取得のオプションを選択する意向を持っていたが、亜久里とそのスポンサーが新チームを設立するのをホンダパワーで援助するのが、最良の妥協策だったのではないか、というのだ。
「それは単なるウワサに過ぎない」と亜久里はイギリス クラッシュネットに対して語った。「F1チームを作るのは僕の夢だし、F1に戻りたいという思いはある。でも、それはとても難しい。誰でも、F1で新チームを作ってみたいと思うものだが、実際にチームを作る前に諦めてしまう。僕が第2のホンダチーム関わっているのかと聞いてくる人たちがいたが、実際はそうじゃないよ」
「僕は日本でたくさんのスポンサーを持っているが、必要な金額のレベルが違う。いくつかのチームと話をしたことがあるけれど、あまりにも高すぎる。今ではF1チームを持てるのは自動車メーカーだけだ。それが誰なのかは知らないが、童夢じゃないということは確かだ。僕は彼らとスーパーGT選手権で一緒に仕事をしているからね。2、3週間後にはわかるだろう。11月15日のエントリー締め切りまでにはね」
興味深いことに、童夢の所有する50%風洞施設は現在、BARの第2の施設として使用されており、そこでブラックレーの施設と並行したプログラムが行われている。それは24時間稼働中で、ふたつの施設の間を定期的な報告が行き来している。
鈴木亜久里と童夢が関与しているのではという説について尋ねられた、BARチーム代表のニック・フライは、にっこりと笑って「コメントできない」と答えている。童夢がこのプロジェクトのパートナーとして有力視されているのは、トップクラスの製造施設を所有していることが理由のひとつになっている。
童夢は今年のBAR007の図面をすべて持っているため、同社が来年のホンダV8搭載用に、わずかにモディファイされたモデルを製造するのはたやすいと思われる。過去にも成功を収めたスポーツカーやF3マシンを製造してきており、日の目を見なかったF1のプロトタイプマシンさえ造ったことがある。
大きな疑問として残るのは、そのチームがイギリスではどこに本拠を置くのか、ということだ。童夢はローラと長年のつながりを持っている。
鈴木亜久里はチームボスとして、IRLをはじめとする、いくつかのフォーミュラに関わってきている。亜久里は佐藤琢磨と直接の関係はないが、琢磨は明らかに、ホンダのフルサポートによって日本資本のチームを作るには理想的なドライバーだ。