ミラノ近郊「アウトドローモ・ナチオナーレ・モンツァ」で開催される伝統のイタリアGPは、モナコGPなどと並び、シーズン中屈指のグランプリである。ここでのレースでは常に、超高速の世界で繰り広げられるドライバー達の超絶技巧と、イタリアならではの熱狂的な雰囲気に、観客たちは酔わされてきた。
B・A・R Hondaは昨年ここで、ジェンソン・バトンが3位表彰台、そして佐藤琢磨も4位フィニッシュを遂げている。
チームはイタリアGP前週、開催地のモンツァで3人のドライバーによる2日間の集中テストを実施した。その結果、空力やエンジン、タイヤの各分野で、十分な進化を確認できた。さらにB・A・R Honda若手ドライバー育成プログラムのメンバーであるアダム・キャロルも、2006年システムを組み込んだ開発用マシンで、テストに加わっている。
2週間前の初開催トルコGPで、B・A・R Hondaのマシンは高い戦闘力を発揮。さらに今回のテストでも成果を得たことで、第15戦イタリアGPでの好成績が期待できそうだ。
■サーキット情報
緑豊かな王立公園の中にあるアウトドローモ・ナチオナーレ・モンツァは、全長5.793km。モータースポーツ黎明期から存在し、今もって最もチャレンジングなコースの一つである。もちろんF1全19戦の中では最古のサーキットで、その熱狂的な雰囲気は他に類を見ない。近年、安全面からコースレイアウトが見直されたが、全サーキット中ほとんど唯一の超高速コースであり続けている。
コースは非常に長い直線がシケインでつなげられているレイアウト。そして終盤には、あの有名なパラボリカコーナーが控えている。モンツァの特徴は、何よりもその超高速なレイアウトにあり、さらに路面も非常にスムーズである。そのためマシンは、極限までダウンフォースを減らすセットアップが要求される。しかし同時にフルブレーキング時の安定性にも、十分考慮を払わなければならない。またかなり段差のある縁石を、バランスを崩すことなく積極的に乗っていくことが、タイムアップの大きなポイントとなる。ただしそこに集中しすぎると、高速コーナーでアンダーステアを出すことになりかねない。各シケインの立ち上がりでは、十分なトラクション性能が欠かせない。そして高速からの急減速が繰り返されるために、ブレーキにも非常に過酷だ。これら諸要素を見る限り、モンツァは非常に難易度の高いコースと言えるだろう。
■ジェンソン・バトン
「去年のモンツァでは3位表彰台という素晴らしい結果を残せたし、前戦トルコの走りも悪くなかった。それだけに今週末のレースは、すごく楽しみだよ。この国のファンの熱さは、本当に特別だよね。サーキットの雰囲気も最高だ。トルコ以上の好調を、是非ここで実現したい」
■佐藤琢磨
「モンツァはやはり特別な場所であり、全GPサーキットの中で文句なく最速コースです。毎年ここでのレースは、かなりエキサイティングな展開になることが多い。今年も期待して良いと思います。モンツァでの2日間のテストは、良い手応えを得られました。レース本番が楽しみです」